春秋

2019/12/7付
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「足の裏のご飯つぶ」とかけまして「博士号」と解きます。その心は「取っても食えません」。こんななぞかけをある大学の関係者から聞いたのは、もう十数年前のことだ。思わず「うまい」と手をたたいてしまったが、それ以上、どう反応しようか迷った覚えがある。

▼大学院で博士号を得ても安定した職につけないポスドク問題は、より深刻になっているらしい。平均年齢は2009年度に33.8歳だったが、15年度には36.3歳。不安定な期間は長引き、志願者も減りつつある。大学にポストの空きは少なく、企業も採用に二の足を踏む。せっかくの能力を、社会は生かしきれていない。

▼若手研究者に平均で年700万円を最長10年間、助成する――。政府は5日に決めた経済対策に、こんな支援策を盛り込んだ。500億円の基金を設け、主に科学技術の分野で700人を選ぶという。未来を担う優秀な頭脳に、じっくり挑戦できる環境を整えようとの狙いだ。海外に比べ遅れた人材育成の挽回策でもある。

▼人工知能(AI)や高速通信の分野で、国境を越え逸材の争奪戦は激しさを増しているらしい。競り負けないためには「取って食える」、さらには「取って輝く」博士号に脱皮させ、活躍の場も広げる策は待ったなしであろう。次世代の技術の覇権をかけ各国がしのぎを削る中、教育行政でも力量や先見性が試されている。

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