「Ama」の文化・食事満喫 さとうみ庵(三重県志摩市)
おもてなし 魅せどころ

2019/12/8付
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NIKKEI MJ

三重県の志摩半島には全国でもっとも多い約650人の海女が暮らす。志摩市の「さとうみ庵(あん)」は伝統的な海女小屋を模した食事どころだ。白い磯着姿の海女が目の前で新鮮な魚介類を焼いてくれる。今や「Ama」は海外でも広く知られ、インバンウド(訪日外国人)客の比率は2割を超えた。観光まちづくりの期待を担う。

海女さんの話を聞きながら、伊勢エビなど炭火料理の味を楽しむ

海女さんの話を聞きながら、伊勢エビなど炭火料理の味を楽しむ

「海女の学校があるの?」。ロシア人の男性が真顔でたずねた。60代の海女が手元を休めて答える。「子どもの頃から海に出て、見よう見まねで素潜りを覚えた」。現役バリバリと知り、男性は感心することしきり。「素晴らしい日本の伝統文化」とたたえた。

さとうみ庵を運営する志摩市観光協会によると、2018年度の来客数は過去最多の9000人。このうち24%が外国人だった。

アジアのツアー客が大半を占めるなか、欧米からの個人旅行客が少しずつ数を伸ばす。ロシア人の男性はグループで関西から東京に移動する当日、大回りして立ち寄った。「ありきたりの観光地は面白くない」というのが理由。同じ日にベルギー人のグループも「日本らしさを体験したい」と、さとうみ庵を訪れた。

観光協会は高級リゾートホテル「アマネム」と連携し宿泊者限定の半日ツアーを実施する。西尾新(しん)・会長の狙いは欧米富裕層だ。志摩半島の「とっておきの場所」を選び観光ボランティアが案内する。小型ボートで英虞湾内を周遊。さとうみ庵では特別メニューでもてなすなど、趣向を凝らしたプランを練る。

就任6年目の西尾会長は本業の会社経営の手腕を、さとうみ庵の集客に生かす。座敷や掘りごたつと別棟のテーブル席はバリアフリー仕様。「本来の海女小屋の雰囲気にそぐわない」との声をよそに顧客ファーストにこだわった。

若い力の活用も目指す。英語教育に熱心な地元の志摩高校と組み、生徒たちに通訳の仕事を手伝ってもらいたいという。国際感覚を磨いてもらう一方、全国的に海女が減り続けるなか「文化の継承を身近な問題として考える場に」と願う。

観光協会のホームページでは人工知能(AI)が英語で観光名所やレストランを案内する新サービス「AIチャットボット」の試験運用を始めた。海外から「クール(かっこいい)」と評価されるAmaの情報発信に一役買う。

(津支局長 山本啓一)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年12月8日付]

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