春秋

2019/12/6付
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一丁目一番地――。政治ニュースを中心によく耳にする。優先事項とか重要案件の意味で、規制改革はわが成長戦略の一丁目一番地だ、という具合に使われる。2026年度、その政治の中枢、永田町の一丁目一番地にあらたな建物がお目見えする。新国立公文書館だ。

▼各省庁の公文書を保管する機関で、いまの施設がほぼ満ぱいのため計画された。憲政記念館が立つ敷地が選ばれ、このほど内閣府が示した基本設計によれば、建物は建てかえる記念館と一体型の地上3階、地下4階。地震をはじめ大災害にそなえて倉庫を地下深くにもうけ、「国のかたちや国家の記憶」を次代へとつなぐ。

▼公文書をふくむ資料を保存し活用する大切さは、だれもが納得するところだろう。米国の専門家に聞いたことがある。「資料の重要性を判断するのは後世の人びと。保存すべきか迷った時は迷わず残す」。首相主催のイベントへの招待者名簿が粛々とシュレッダーにかけられたとき、子や孫の世代を考えた人はなかったか。

▼憲政記念館のもとは憲政の神様とたたえられた政治家、尾崎行雄の記念館。建設費を募金などでまかない、資材や労働の提供を受けてできた。その建物を跡形なく壊すことには反対の声もある。未来の世代が歴史を検証できるよう文書や「人の善意のかたちと記憶」を残す。いまの国に求められる「一丁目一番地」である。

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