意志あるところに道あり
SmartTimes 社会起業大学理事長 田中勇一氏

コラム(ビジネス)
2019/12/6付
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「意志あるところに道は開ける」。10月に社会起業大学学長に就任した林浩喜さんは、言葉通りの人生を歩んできた。戦前に金融業を興して成功した祖父への憧れから、大学に通う頃には自分もいつかは起業することを決めていた。

1992年住友銀行(現三井住友銀行)入社。新銀行東京とイオン銀行設立に参画後、キャリア支援のリソウルを設立。2010年に社会起業大学を設立。公益資本主義推進協議会副会長。

1992年住友銀行(現三井住友銀行)入社。新銀行東京とイオン銀行設立に参画後、キャリア支援のリソウルを設立。2010年に社会起業大学を設立。公益資本主義推進協議会副会長。

まずは社会全体を学ぼうと商社に就職する。その頃、本屋で見つけた「マクドナルド」(ジョン・F・ラブ著)を読み、最新の経営手法で成長した飲食業の軌跡に感動した。食べることが大好きだった林さんはフードビジネスを志し、サービスマネジメント分野で世界のトップクラスといわれる米国コーネル大学ホテル経営大学院へ留学。卒業後も現地で複数のフードサービス企業で働きながら、米国での起業を目指した。

在学中に策定した日本食チェーンレストランの事業計画で投資家を募るが、資金が集まらない。そのうち就労ビザが切れることになり、帰国してベーグル専門店を始めると決めた。なぜベーグル専門店かといえば、たまたま働いたベーグル企業でのオペレーションが楽しかったことと、日本にはベーグル自体が存在しなかったからだ。

帰国し、アルバイトを続けながらベーグル専門店の事業計画を片手に投資家や銀行を回る。しかし「ベーグルは日本人の口に合わない」などの理由で、またも資金が集まらない。貯金が底をつく頃、新宿御苑の路地裏でベーグル専門店を試すチャンスをつかんだ。

すると意外にも女性からの支持を獲得し、開店当初から行列ができる。話題を呼んでメディアにも多く取り上げられ、店舗数も順調に拡大した。ベンチャーキャピタル(VC)からの出資も受け、自然と株式上場を目指す流れとなった。

ところが上場を視野に入れると、いつの間にか事業拡大一本やりの出店戦略となってしまった。「このままでは従業員や消費者の満足を得られない」と悟った林さんは、急きょ上場を取りやめる決断を下す。

直前期のタイミングだったため、周囲は混乱した。結局、VCへの配慮から全ての株式を買い取ることを約束した。それから8年。業容は拡大したが、ベーグル業界で地位を築いた達成感もあり、次第に以前のようなパッションを維持するのが困難となっていった。そして、ついに会社を譲渡する決断をする。

譲渡を完了した後、以前から社会貢献型の事業を模索していたこともあり、社会起業大学との偶然の出会いがあって入学した。

そして林さんに起業時から20年にわたり「教育」への強い関心があったことを知った私が、10周年を迎える社会起業大学の責任者として学長への就任を要請した。自らの強い意志で困難を乗り越えて道を開いてきた林さんには、これまでの経験を生かし、社会起業大学を通じて公益資本主義を実践する多くの人材を生み出してほしい。

[日経産業新聞2019年12月6日付]

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