「世界一面白い店」 客との距離感、設計を丁寧に
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

コラム(ビジネス)
2019/12/6付
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NIKKEI MJ

前回に続き、訪問したニューヨークのトピックを紹介したい。

b8taには「完璧な歯磨き」をうたう電動歯ブラシなどが並ぶ

b8taには「完璧な歯磨き」をうたう電動歯ブラシなどが並ぶ

知人に強く推薦されたのが、b8ta(ベータ)というD2C(消費者直販)の商品だけを集めたショールーム感覚の体験型ショップ。D2C企業はスタートアップが多く、一等地にいきなり店は出せない。b8taは幅80センチ弱の区画を提供し、様々な企業の革新的な商品が並ぶ。

タブレットで動画が見られ、スタッフを呼べば説明もしてくれる。美容商品や旅行用バッグなど、実物を手に取らないと購入しにくい商品を体験でき、気に入ればその場でオンライン注文が可能。持ち帰れる商品もある。いつも面白くて新しいものがあるという期待がありそうだ。

b8taにはテックに寄った企業の出展が多い。メイシーズのメンズ館にも売り場があり、どちらかというと男性向けといえる。

シーツを触ると温度が変わると説明するショーフィールズのスタッフ

シーツを触ると温度が変わると説明するショーフィールズのスタッフ

対して昨年12月にオープンしたSHOWFIELDS(ショーフィールズ)はフェミニンなインテリアで、インスタ映えする空間づくりを心がけていた。ソーホーのビルの3フロアを細かくゾーンに分け、50弱のブランドがそれぞれ商品を実感できるショールームを設けている。

各部屋の入り口のタブレットからネットを通じて商品を買え、2階にはショールームで紹介したものだけが並ぶ店がある。ショールーム、ショップ、帰宅後と、買う機会を複数用意する。非常に凝った空間なのでSNSで拡散せずにはいられない。期せずしてPRウーマンになる。

感心したのが、美容サプリメントを解説したスタッフが、睡眠テックのルームでも丁寧に説明してくれたこと。次のエコボトルの説明もインパクトがあった。表情豊かに身ぶりを交えて商品の意義を話し、「私もこれ欲しいと思ってる」などと言い添える。

「どうして詳しく説明できるの」と聞くと、出展社による教育とともにショーフィールズでも独自に学ぶという。かといって押し付けがましさは皆無で、見るだけでも気まずくない。「世界一面白いショップ」と評判を呼んでおり、演出面での工夫はもちろんスタッフの魅力もショップの未来像だと感心した。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

もう一つ印象に残ったのが、3階から2階へ移動するトンネル式滑り台! たまに聞こえる悲鳴を不思議に思っていたが、心拍数が増える体験をいや応なくさせられた。

ニューヨークを見て回ると人の介在のさせ方が二極化していると感じた。「アマゾン・ゴー」のような完全無人化の一方で、評価の高い品を並べた「アマゾン・4スター」はスタッフが丁寧に説明する。b8taとショーフィールズでもスタッフとゲストとの距離の取り方を丁寧に設計していた。

人を介在させる場合は、テレビショッピングのキャスターのようにどんな商品でも顧客の立場から魅力を伝えられる人材が活躍していた。未知の品との出合いを促すガイドであり一緒に楽しんでくれる共感者がいると、体験の満足度は大いに高まる。

[日経MJ2019年12月6日付]

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