自分の時代は自ら決める
SmartTimes レランサ社長 スティーブン・ブライスタイン氏

コラム(ビジネス)
2019/12/4付
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会社で一つの時代が過ぎてしまっても、大抵の場合はとてもささいなことなので、あまり気にも止めることはない。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

ある企業の古株のマネージャー達は会社の初期を「迅速な改革、冒険、そしてリスクを冒すことに象徴される時代だった」と語る。ところがその後、この会社は官僚的な企業へと変わってしまった。

経営のスピードは落ち、リスクは回避するようになり、融通も効かなくなってしまったのだ。一体どこの時点でそうなってしまったのか。それは誰にもわからなかった。

それは相当長く続いたので、若い社員が知っているのはそんな状況だけだった。彼らは「会社の官僚主義は最初からずっと続いてきた」と思っていたのだ。ある時代が忘れ去られてしまうと、現在の状況が過去にも存在したかのように思われてしまう。

未来だって同じようなものだ。まるで四季がなくなり、平たんな気候がずっと続くかのように。

ある日本の化学メーカーでも私は営業チームのメンバーに「ビジネスを成長させたいのであれば、現在彼らが牛耳っている業界以外でも見込み客を探すべきだ」と提案した。この会社の製品には、様々な使用方法があったからだ。

しかしこのチームの答えは「実行できるわけがない」だった。

他の業界には見込み客など持っていないし、その業界の製品知識など持っていないからだという。彼らは「自分たちが専門家などというには程遠いと考えられる業界に切り込んでいくのは、あまりに無責任だ」と主張した。

私に賛同してくれたのは、ほんの数人のマネージャーだけだった。

「会社も社員も若くて根性があった頃は、他の業界でビジネスチャンスを探すことなど当たり前だったものだ。商品の専門知識が足りないと感じれば、自分からそれを勉強した」。そう言ってくれた。

しかし、それを理解できたのは、当時を知る50歳を超えたマネージャー達だけだった。自分自身が経験したことがあったからだ。それ以下の社員は、そんな働き方が可能だということさえ頭に浮かばなかった。

我々は企業のリーダーとしてビジョンを作り、戦略を設定し、自社の価値を広め、支持する。過去の歴史を振り返ることもあるかもしれない。しかし、自分の時代がどのようなものであるかを決めることを未来の人々に託してしまうこともありがちだ。

しかし別のやり方もある。リーダーであるのなら、自分で自分の時代を設定することができるはずだ。

あなたも「これは私の時代だ」と宣言して良いのだ。時代があなたに与えた影響を未来の人々に分析してもらう必要はない。あなたの時代は自分が決め、自分でつくり出してほしい。

[日経産業新聞2019年12月4日付]

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