伊集院静「ミチクサ先生」(83)

伊集院静「ミチクサ先生」
2019/12/4付
情報元
日本経済新聞 朝刊
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窓から差し込む夏の陽の中で、その娘はまぶしく、どこか神々しく映った。

娘は卓の上に丁寧に茶をひとつずつ置き、畳に手をついて、おろくと申します、と消え入りそうな声で言った。

「まだ世間知らずで、正岡様から何かと教えていただければとお待ちしておりました」

「一高の正岡です。ひと夏世話になります」

子規が言うと、古白が小声で良に言った。

「たまげた。ノボさんが東京弁を話しとる」

「ほんまに、ノボさんが東京弁じ…

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