春秋

春秋
2019/12/3付
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大掃除シーズンは家庭内でいろいろなトラブルが起きる。「捨てたとたんあの服何処(どこ)だと聞く夫」――。「断捨離」という言葉を広めた、やましたひでこさんが募る「断捨離川柳」にこういう句があった。あるある、こういうこと。オヤジはなぜかモノを捨てられない。

▼そこへいくと内閣府は断捨離上手だ。野党から「あの資料どこだ」と聞かれた日に、たまたまシュレッダーにかけて処分していたという。「桜を見る会」をめぐる騒動のひとつ「招待者名簿廃棄の巻」である。資料要求の1時間後の出来事だが、それとこれとは無関係という説明を、きのうの国会で安倍首相も繰り返した。

▼はて面妖なと、時代劇のセリフが思い浮かぶのはこんなときである。くだんの会は客の数が膨れあがっていた。昭恵夫人の推薦枠や、怪しげな人たちが紛れ込んでいた疑惑など、名簿が審(つまび)らかになれば厄介な問題が噴き出すやもしれぬ。だから役所はすわ一大事と細断処分に走った……という臆測が世の中には満ちている。

▼謎の多い「前夜祭の巻」も謎のままだ。国会での攻防もこれでヤマを越えたと安堵の声が聞こえてきそうである。しかしこういうことが重なって、権力はまた自制が利かなくなるのではないか。このさい、すっかり吐き出してみたらいかがだろう。ほんとうの断捨離とは、心の混沌を整理することだと専門家は教えている。

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