春秋

春秋
2019/11/30付
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●(歌記号)この憲法のある限り 無条件降伏続くなり マック憲法守れとは マ元帥の下僕なり――。きのう亡くなった中曽根康弘元首相が作詞して、1956年に発表した「憲法改正の歌」である。マックはGHQ(連合国軍総司令部)の最高司令官、マッカーサーのことだ。

▼「高崎の材木屋のヤッちゃん」を自称することもあった中曽根さんだが、若いころから権力の頂点を意識し、揺るぎない信念を固めていたふうである。日本国憲法を「押しつけられた」と力説する姿は当時、青年将校とも呼ばれた。風見鶏と皮肉られつつ、三角大福中のアンカーとして首相に就き、改革の手綱をさばいた。

▼戦後政治の総決算を掲げ、電電公社や国鉄の民営化、さらに臨時教育審議会の設置、日米関係の強化にも踏み込んでいる。奥多摩の山荘で米大統領とちゃんちゃんこ姿でホラ貝を吹くなど、パフォーマンスも重んじる手法は今に受け継がれていよう。政治的なスタンスに賛否はあろうが、実行力は誰もが認めざるをえまい。

▼政権の末期には、後継を指名する余力さえ残した。歴代宰相の最後にとくと学んだ永田町の処世術からだろうか。政界引退は本意でなかったようだが、最晩年まで信条をまげず、生き証人として取材を求められるなど枯れない一面も見せていた。首相のころのギラギラした雰囲気は今の政治家にない。良いのか、悪いのか。

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