ラグビーW杯 学んだ連携
SmartTimes PwCコンサルティングパートナー 野口功一氏

コラム(ビジネス)
2019/11/29付
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日本で開催されたラグビーワールドカップ(W杯)は日本代表の素晴らしい活躍もあり、大きな盛り上がりをみせた。正確な数字はわからないが国内のラグビー人口が減っているといわれる状況で、このスポーツの面白さやノーサイドの精神に代表されるスポーツマンシップの原点などについて改めて私たちは認識したのではないだろうか。

イノベーションを生み出すための仕組み(プラットフォーム)づくりに従事。海外のスタートアップや大学、NPOとも連携してイノベーションの創出を戦略策定から支援している。

イノベーションを生み出すための仕組み(プラットフォーム)づくりに従事。海外のスタートアップや大学、NPOとも連携してイノベーションの創出を戦略策定から支援している。

その日本代表だが、よく話題になるように外国人選手がチームの中核にいる。サッカーなどと違い日本で居住やプレーをしていれば代表選手になれるが、日本代表になると母国では代表になれない。彼らはラグビーに限っては母国ではなく日本を選び、日本のために戦っているのだ。

このような多国籍のメンバーで構成されるチームが勝利に向かって戦うことは、まさに今の時代にマッチしている。本当の意味での多様性、ダイバーシティーを実現している。それぞれの国でラグビーのプレースタイルも違うだろうし、文化も違うのだろう。しかし、その価値観の違いを乗り越え、チームをつくりあげて今回の結果を生んだ。

また、このスポーツの性質上、身体が大きい人と小さい人、足の速い人と遅い人がポジションによってそれぞれの役割を担える。自分の個性を最大限に生かすことができるのだ。日本で「個性を大事に」といわれて久しいが、ラグビーはそれを自然に行っている。

ラグビーで点をとる主なプレーはトライであり、敵陣のゴールラインを越えて地面にボールを置く。他の球技はボールをゴールまで蹴ったり、投げたりするが、ラグビーは、ボールをゴールまで運ぶためにパスをつなぐ際、ボールを前には投げてはいけないというルールだ。ボールを受け取る人は持っている人の後ろにいなければならず、その上でパスをつなぎながら一歩一歩ゴールに向かう。

日本代表が細かいパスをつなぎながらトライをしたシーンがたくさんあったが、ボールを持つ選手を決して一人にさせず、いつでもパスがもらえるように追いかけ、ボールを持っている選手も相手を信頼してボールを渡す。まさに信頼にもとづいたコラボレーションであり、成果を出すためのコ・クリエーションだ。

企業もスタートアップとの連携、オープンイノベーションなど「自分たちだけでは競争を生き抜けない」という意識のもと様々な形で協業を模索している。競争環境の中、まさにトライをとるためにパスをつなぐ関係を作っていくのだ。

日本代表のチームビジョンは「ワンチーム」だった。まさに現代の企業が必要としている概念で、また構築が難しいものだ。しかし日本代表は多国籍かつ個性を生かすダイバーシティーと信頼関係に基づくチームプレイで、予想以上の結果を残した。W杯から我々はビジネスについても大きな学びを得られたと思う。

[日経産業新聞2019年11月29日付]

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