春秋

春秋
2019/11/27付
保存
共有
印刷
その他

プラハの中心部に「レノン・ウオール」と呼ばれる壁がある。プラハ城のお膝元で、ブルタバ川(モルダウ川)にほど近いところ。1980年12月にジョン・レノンが暗殺されたのをいたみ、その肖像を何者かが壁に描いた。それが反響を呼んで、名前の由来となった。

▼共産党による独裁的な統治の下にあった時代である。「西側」のシンガーソングライターだったレノンの肖像を描くことは、それだけで体制への反抗だった。以後、人々は様々なメッセージをここで表明してきた。共産党政権が倒れた89年の「ビロード革命」のあとも、地球環境問題への取り組みが呼びかけられたりした。

▼プラハの経験に触発されたのが、香港で民主化を求める若者たちだ。2014年の「雨傘運動」では、香港政府庁舎の近くにレノン・ウオールが登場した。本家とはやや趣が違って、意見を書いた付箋を貼る場として。そして今年の「反送中運動」では街のあちこちに登場した。ちなみに漢字では「連儂牆」と表すらしい。

▼24日の香港区議会議員選挙では民主派が歴史的な大勝をおさめ、親中派が惨敗した。習近平国家主席ひきいる中国共産党政権には痛撃だ。とはいえ行政長官の直接選挙など民主派の訴えが実現する展望は開けていない。むしろ、警戒を強めた共産党政権はますます頑(かたく)なになると予想される。レノン・ウオールの出番は続く。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]