米の少数派向け投資熱く
SmartTimes ネットイヤーグループ社長 石黒不二代氏

コラム(ビジネス)
2019/11/25付
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米スタンフォード大学のビジネススクールの同窓会に参加してきた。同窓会では様々な学習機会が用意されていて、その1つがシリコンバレーのベンチャーキャピタリストによるパネルだった。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

壇上に並ぶキャピタリストたちを見て、私は驚いた。アンドリーセン・ホロウィッツなどベンチャーキャピタル(VC)の投資の専門家たち4人が並ぶパネリストの中に、白人男性が1人もいないのだ。

シリコンバレーのVCでは9割が男性で、しかも白人比率が非常に高い。それなのに女性や黒人のキャピタリストが壇上に並ぶ光景は新鮮だった。

話しぶりを聞くうちに私は、その合理的な説明の虜(とりこ)になっていった。彼らは一貫してマイノリティー市場、例えば女性または黒人向けの事業への投資を促していた。

シリコンバレーといえば日本のIT企業が成し遂げられなかったプラットフォーマー、いわゆるGAFAの勢力が拡大するばかりだ。だから今後もプラットフォーマーになり得るような企業への投資が盛んで、いまさらマイノリティー市場への投資と言われても最初はピンとこなかった。

彼らの説明の中に、米国の人口統計があった。2010年から50年にかけて人口は1億2900万人ほど増加するが、白人の人口はその期間に3%しか増えない。97%の増加に貢献するのは有色人種だという。

他にも女性やマイノリティー市場への投資を後押しする事実が複数ある。女性や有色人種の高学歴化や消費力の高まりなどだ。

VCの投資判断は常に、いたって明確である。投資基準の1つは事業が成長市場向けであること、またその将来の市場規模が大きいことだ。「簡単な算数をしてみればわかるはずだ」とパネリストたちは断言していた。

市場以外にも理由はある。女性起業家への投資や黒人起業家への投資が少ないということだ。また経営陣も多様化していない。つまり投資家にも会社にも市場にも、現実と大きなギャップが存在している。

では彼らがどんなビジネスに投資をしているかというと、黒人が使う髪のエクステンションを製造販売している事業や、移民の母親が立ち上げた「放課後に塾に通う子供向けの配車サービスの事業」などが例に挙げられた。

ヘアカット産業は拡張性があるし、現在注目を浴びているウーバーなどの一般配車サービスは15歳以下の子供が1人で利用できないルールだという。いずれも黒人だからこそ、働く母親だからこそ考案できたサービスだといえる。

モルガン・スタンレーも、黒人や女性への投資を促すリポートを出している。地に足のついたビジネスプランを支援する米国の懐の深さに、一本取られた気分だった。

[日経産業新聞2019年11月25日付]

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