春秋

春秋
2019/11/21付
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「かさかさか」。いや、語呂がいいから「かさかさかつら」だったかもしれない。高校時代に日本史の教科書と首っ引きで、明治後期から大正の初めにかけての首相の順番をこんなふうに暗記したものだ。桂太郎と西園寺公望が交互に政権を担った「桂園時代」である。

▼軍人出身の「か」と公家の「さ」。もともと違うタイプだ。西園寺のほうがリベラル派のイメージは強いが、桂も敵対する政党との「情意投合」を掲げて協調型の政治手法をとった。そうやって続いた桂園時代は10年あまりに及ぶ。「かさかさか」だから、桂は宰相の座に就くこと3度。通算在任日数は2886日だった。

▼安倍首相がこの記録を抜き、憲政史上最長に到達したという。「単独1位」「歴代トップ」などとにぎやかなことだ。もっとも世評は一様ではない。経済政策は道半ば、スローガンが次々に躍りはするが何か大きく変わったものがあるかどうか。霞が関の官僚たちをはじめ、政権に忖度(そんたく)する人々だけは間違いなく増殖した。

▼1強のおごりだ緩みだという非難は、もうずいぶん前からだ。いろいろ疑惑も残っている。それでもここまできたのだが、これからもそうとは限るまい。かの桂園時代は2回目の「さ」で事実上の幕となり、やがて「大正政変」が起きて時代は大きく変わっていった。令和の政治と社会を、後世の教科書はどう記すだろう。

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