驚きのインターン体験
SmartTimes GMOペイメントゲートウェイ副社長兼GMOベンチャーパートナーズファウンディングパートナー村松竜氏

2019/11/20付
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知人の学生が東京でインターンを経験した。リンクトインで魅力的な会社を見つけ出し、問い合わせフォームから申し込んだという。応募した会社は社員100人未満の有名スタートアップ。昨年は数人のインターン枠に何十倍もの応募があったそうだが、彼女のような大学1年生にも応募資格があった。そういう企業は日本では少ない。当社も1年生のインターンは募集したことがない。

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

7月に働き始めた彼女は、インターン契約の1カ月半のうち1週間もしないうちに「大学に戻らないでここで働きたい」と思うようになった。何が彼女をそんな気にさせたのか。「みんなが生き生きしている。仕事が好きで好きで仕方がないという顔をしている」

その会社はいわゆるテック系で、まず彼女を驚かせたのが「オフィスの中で一番にぎやかなのが、営業さんではなくエンジニアの人たちだった」。「ギークであるはずの理系の人に対して抱いていた印象が、一変した。彼らは驚くほどの読書家で、テック以外の知識量も半端ない」

米国でリベラルアーツを学びながら将来の道を探っていた彼女はインターン中、様々な部署や社外の人と接する時間を作ってもらい、刺激を得た。期間中は上司に叱られて落胆することもあったが「早く働きたい」と熱く語った。衝撃を受けた。これから社会に出て行く若い人たちに、企業がどう接すべきかを深く考えさせられた。働く楽しさを肌感覚で学生時代に理解してもらうことの重要性だ。エンジニアが女子学生の心をここまでつかむとは。

それなりに普及してきたインターンシップだが、大半が就職活動の一部で、1週間程度のプログラムだと思う。実際の事業部門に配属され、営業先に同行し、ミーティングで意見を求められるというのはあまり聞かない。最終的に採用につながらないかもしれないのに、インターンプログラムの運営にここまでコミットするとは驚きだ。会社に長期的かつ間接的な人材育成という大方針と覚悟がなければできないだろう。

「学生に戻りたくない」という彼女に「大学でしか学べないこともある」「自分なら片っ端からいろんな授業に出る」「1つのことを極めてみるのもいい」と社員さんが激励してくれたという。学業に新たなマインドセットをして、泣きながら戻っていった。卒業後に就職しなかったとしても彼女はきっといつか、この会社に何かの形で恩返しをするだろう。いや、しなければならないだろうと話を聞きながら思った。

将来わが社が同じことをしたとして、学生に「大学に戻りたくない」と言わせられるだろうかと自問した。人材は家庭や学校だけでなく、社会全体が育てるものだ。多くの場合は企業が最前列にいて若い人材と接する。多くの驚きや気付きを得た出来事だった。

[日経産業新聞2019年11月20日付]

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