地方から世界めざそう
SmartTimes 三井住友銀行 成長事業開発部長 北澤裕司氏

2019/11/18付
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9月に大阪で開催された「スタートアップ・イニシャルプログラムOSAKAアクセラレータープログラム」に審査員として参加した。一次選考を経た15チームのスタートアップのピッチで驚いたのは、地元関西の大学生や卒業間もない20歳代で構成されるチームが大変多かったことだ。

1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ベンチャーエンタープライズセンター主任研究員を務めるなどベンチャー支援に従事。SMBCコンサルティング企画部長などを経て、2017年より現職。

1989年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ベンチャーエンタープライズセンター主任研究員を務めるなどベンチャー支援に従事。SMBCコンサルティング企画部長などを経て、2017年より現職。

また10月には渋谷の当行オープンイノベーション拠点で「名古屋大学・名古屋工業大学発ベンチャーのミートアップイベント」を開催した。ピッチを実施したチームすべてがものづくり系の大学発スタートアップだったが、そのレベルの高さに圧倒された。

私は1995年から約3年間、経済産業省傘下のベンチャーエンタープライズセンターに出向し、大学からベンチャーを生み出すための起業家精神の育成事業に携わった。当時は各地の大学で「若者会社をつくろう」と題するイベントを開催したが、参加する学生は少なく、開催した地域都市にスタートアップはほとんど存在しなかった。

最近はベンチャーキャピタル(VC)ファンドや大企業のCVC設立の増加で資金調達の環境整備は進み、ICT技術の普及で起業コストは格段に下がった。人工知能(AI)や再生医療などの分野での起業では、大学の研究成果とのつながりが不可欠だ。起業を取り巻く環境変化を考えれば、大学を核に地域都市でもスタートアップの集積が進み、その中から有力企業が出てくる期待が高まる。

元来、創業は勤務先で得た業務経験や営業人脈、習得した技術などを基にスピンオフの形式で実行されることが多い。東京にスタートアップが集積している背景にはサイバーエージェントなどインターネット関連の有力新興企業が集積し、これらをスピンオフした若い人たちが起業していることが一因だろう。

今後、大学時代での起業や大学の研究成果を基にベンチャーの創業が広まれば、大学を核にスタートアップが地域都市にも増えていくだろう。集積によるベンチャー経営者のネットワークが次の起業を生み出し、そして各地域都市でエコシステムの形成が進む。

ベンチャーエンタープライズセンターで債務保証事業の審査委員長をされた堀場製作所の堀場雅夫最高顧問は「日本一を目指すなら東京で、世界一を目指すなら地方で起業」とおっしゃっていた。グローバルなマーケットを狙うなら、地方にいても海外情報へのアクセスは変わらない。日本から世界で活躍できるベンチャーを生み出したいとの強い思いをお持ちだった。

いま大阪では関西経済連合会や関西経済同友会、名古屋では中部経済連合会を中心に財界企業が大学と関係を強め、スタートアップエコシスムの構築を進めている。全国の地域都市から世界視点でビジネスを展開するスタートアップが出てくることを期待したい。

[日経産業新聞2019年11月18日付]

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