春秋

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2019/11/14付
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「新しき御代(みよ)ことほぎて八重桜」。安倍晋三首相が4月、東京の新宿御苑であった「桜を見る会」で披露した句だ。参加者は年々右肩上がりで、今年は約1万8千人、予算の3倍を超える5500万円を出費した大がかりな花見である。気持ちも高ぶっていたのだろう。

▼ところが、この行事、先週末以降、にわかに問題視された。安倍首相が自らの後援会関係者を数多く招いて、便宜を図っているのではないか、との疑念である。首相の事務所の名で会の案内が届いたとする証言や文書の存在も報じられた。事実ならば、公費での地元サービスで、公職選挙法に触れるとの声も上がっている。

▼首相はきのうになって突如、半年近くも先の来年春の会の中止を決断した。官房長官は理由について「招待基準の明確化を検討し、予算や人数を含め見直す」と説明したが、事実上、ここ数年の会の運営に反省点が多々あったことを認めたのだろう。もちろん、中止になるからといって、国会での追及がやむわけではない。

▼「秘書が」「事務所が」と釈明しながら、閣僚が次々と職を辞し、ひと月たっていない。20日には首相の通算在職日数で憲政史上トップの栄誉が待つのに、厳しく「説明責任」を求められる事態になりつつあるとは。長期政権のゆるみやおごりが言われる中、小林一茶の句を味わうべきか。「世の中は地獄の上の花見かな」

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