ホテルブランドを守る存在
SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

コラム(ビジネス)
2019/11/13付
保存
共有
印刷
その他

ホテル&ホスピタリティビジネス衛生管理実践研究会という任意団体がある。ホテル業界から食品事故をなくし、食の安心安全に貢献するため2011年2月に設立された。私が京王プラザホテル勤務時代にお世話になった井部修さんが発起人で、10月現在で28法人や個人が参加している。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

火災と食中毒。これはホテルブランドを大きく毀損する。最近では感染症も食中毒同様の指摘を受けるようになり、食品衛生に携わる担当者は食品事故の撲滅に日夜頭を悩ませていると聞く。そこで同じ悩みを抱える担当者が定期的に集い、知見を高めるようにした。これが設立の背景だ。

インバウンド観光客が増えるに従いアレルギーやビーガン対応など、ホテルが対応を求められる内容は多岐にわたるようになった。顧客対応という観点で、どの会社でも必要とされることを業界全体で研究し、研さんする。これが業界全体の質の向上につながる。

食品衛生というと食品ごみの問題も対応範囲となる。限りある資源をいかに大切に取り扱うか。ホテルの立食パーティーでは豪華な食事が用意されるが、相当の食べ残しが出る。それらはそのまま廃棄される。

私がホテルの宴会の現場で働いていた30年ほど前のことだ。毎回のように冷たいオードブルが大量に残るキッチンの担当者に「食べ残しの実態を見に来てほしい」と進言したところ「お代金をいただいているのだから文句を言うな」と激怒されたことを思い出す。

そういう問題ではない。すべて召し上がっていただくのは無理だとしても、どの料理が残され、どの料理が足りなくなるのか。日々研さんすべきではないかと思っていた。それが食品ロスを減らす。料理人からするとメニュー全体にこだわりがあるのだろうが、自分のこだわりだけでは顧客不在だ。最近はだいぶ変わってきたという。料理人たちもオープンになり、こうした意見に対する聞く耳をもつようになったという。

食品衛生の仕事は縁の下の存在だが、存在するから顧客は安心してホテルで食事ができる。ちなみにこの団体には"ジャム&バター"という通称がある。

食品事故は現場で発生し、調理人、レストランの現場のサービス担当者たちは日々、原因菌と戦っている。彼らをアンパンマンに見立てた。食品衛生担当者は最新の知見を得て、もし不適事項があれば修理修繕などする。アンパンマンのパワーアップをしているようなものだ。ここから団体の通称を「ジャムおじさんとバタ子」としたそうだ。

東京五輪を控え、彼らが果たす役割は大きい。未加盟のホテルの食品担当者も、ぜひ参加してほしい。そしてホテルの経営者のみなさんには活動に関心を寄せ、称賛してほしい。売り上げに直接つながる活動ではないが、ホテルのブランドを守っている存在だ。

[日経産業新聞2019年11月13日付]

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]