春秋

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2019/11/9付
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8歳から20歳までの総勢48人がオーケストラを組み、「YMCA」や映画「アラジン」のテーマ曲を体育館いっぱいに響かせた。フィリピン中部セブ市の貧困地域から先週来日した子供たちだ。5年前から交流のある茨城県立取手一高で、日ごろの練習成果を披露した。

▼日本から中古楽器の寄贈を受け、現地に演奏を習う場を設けているのはNPO法人のセブンスピリット(東京・豊島)。路上で過ごしていたスラムの子が、毎日、練習にのめり込むようになった。「どうせ何をやってもうまくいかないんだと思っていた子も、徐々に自信をつけていく」。田中宏明理事長は音楽の力に驚く。

▼リゾート地として知られるセブで、高級ホテルが並ぶ区域と貧困地域は対照的だ。フィリピンではマニラ、ダバオなどの都市にも貧しい人たちが暮らす一帯がある。東西陣営を隔てていたベルリンの壁の崩壊からきょうで30年になるが、グローバル化の波に乗った者と取り残された者との分断は深まっているようにみえる。

▼「夢はかなうことも、子供たちに学んでほしい」(セブンスピリット)。取手一高ではセブの子が、英語で同校の生徒と趣味や学校生活について語り合う場面もあった。バレーボールやサッカーに熱中しているという子は、将来スポーツで活躍する自分を描いているようだった。育った環境のハンディを乗り越えつつある。

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