春秋

春秋
2019/11/8付
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「まちまーい」とは、沖縄の言葉で「まち巡り」という意味だそうだ。歴史や文化に詳しい地元のガイドが、観光本が取り上げない那覇の街角を徒歩で案内する。同市観光協会の名物ツアーの愛称だ。NHKの人気番組「ブラタモリ」を思わせる味わい深い企画である。

▼琉球の王都・首里の周辺は、隆起サンゴと泥岩層から成る。2つの地層の間に雨水が蓄えられ地下水が豊富だ。王朝時代に掘削した古井戸を、今も住民が利用する。泡盛や味噌の蔵元があるのは、清らな湧水の恩恵である。過去のまち歩きで参加者は、路地裏にひっそりたたずむ水場を訪ね、城下町の地勢と風土を学んだ。

▼先週末の3連休、火災の実況見分が続く首里城を訪ねた。人々は焼け崩れた建屋を望む、守礼門に近い池のほとりに集まっていた。カメラを向ける観光客。手をあわせて祈るお年寄り。シンボルを失った痛みを肌で感じた。惨事から1週間。多くの寄付が集まった。が、復元の時期は見通せず、観光への打撃も懸念される。

▼首里には戦時中、沖縄守備隊・第32軍司令部が陣を張り、壕(ごう)の跡が残る。「鉄血勤皇隊」に動員され戦火に散った旧県立第一中学校(現首里高校)の生徒を悼む碑や、遺品を集めた資料館もある。戦跡などを巡る「まちまーい」はネットで予約可能だ。沖縄に心を寄せる方にぜひおすすめしたい再興支援のまち歩きである。

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