伊集院静「ミチクサ先生」(58)

伊集院静「ミチクサ先生」
2019/11/8付
情報元
日本経済新聞 朝刊
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その他

子規は秀才の顔をまじまじと見た。

秀才はどこかそれを鼻にかけていることが多いと聞くが、そんなふうにも見えない。

「な~に同じ人間じゃ、欠伸(あくび)もすれば屁(へ)もひるぞ、ハッハハ」

「何が可笑(おか)しいんだ、正岡君」

かたわらの同郷が訊(き)いた。

「いや何もありゃしませんわ。秀才も同じ人ではあると思うただけですわ」

「そりゃ、そうだ」

広いキャンパスを歩いて二人は近くにあったベンチに腰を下ろした…

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