春秋

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2019/11/7付
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「トランプ氏はこれまでで最高の米大統領だ」。米国と対立しているシリアのアサド大統領は最近、国営メディアにそう語ったそうである。発言の趣旨は米国の外交政策に対する皮肉なのだが、トランプ政権の中東政策を踏まえると大仰な賛辞は本音にも聞こえてくる。

▼「テロとの戦い」で共闘していたクルド人勢力をなかば見放し、結果としてアサド政権やロシアを手助けしているからだ。いわば壮大なオウンゴールを決めたようにみえるのである。アジアでも、このほどバンコクで開いた国際会議にご本人はおろか閣僚さえ姿を見せず、地域で覇権を争う中国に塩をおくる格好となった。

▼その中国にしてもオウンゴールと無縁ではない。香港で容疑者の中国大陸への引き渡しを可能にする、逃亡犯条例改正案である。かつてない規模のデモを招き、なお収拾のメドが立たない。2020年1月の台湾総統選挙に向けて、敵視する蔡英文総統の再選を後押しするような展開となっている。そして振り返れば――。

▼「北京、モスクワ、平壌に喜ぶ人がいる」。米国務省のナッパー副次官補が日本と韓国の対立を評した言葉である。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が破棄となれば、まさしくオウンゴールというほかない。有効期限が切れるまで2週間あまり。「ゴール!」と叫ぶ金正恩委員長の声が聞こえてくる気がする。

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