池森賢二(3)父の死
電線で感電 村は大騒ぎ 母は出稼ぎへ 涙の見送り
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母が血相を変えて家に戻ってくる。「お父さんが死んじゃった」。父と兄のいる場所へ駆けつけると、父が電線にぶら下がったまま、息絶えていた。感電死だった。
東洋紡のエンジニアだった父は電柱に上り、トランスを直す途中、雨で足をすべらせ、高圧電線をつかんでしまったのだ。今でも検視している状況を覚えている。指先と脚の付け根が真っ黒。「電気ってそう抜けるのか」と冷静に考えていた。余りに突然のことで父の死に現実感がなか...
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ファンケル会長の池森賢二さんは1980年に無添加化粧品のファンケルを創業し、人々の「不安、不満、不便」を解消しようと奮闘してきました。子供のころに父を亡くし、中学卒業後に様々な職業を経て起業した激動の人生を振り返ります。
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