手放すことから始めよう
SmartTimes レランサ社長 スティーブン・ブライスタイン氏

コラム(ビジネス)
2019/10/30付
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ビジネスを育てるため最初にすべきなのは、たとえ人材不足が叫ばれている最中であっても、何を削減するか決めることだ。ビジネスを成長させるためには、まず手放すことから始めよう。手放すべきものの上位を説明したい。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

まずは凡庸な社員を解雇することだ。本当に優秀な人材は、やはり同じように優秀な人々に引きつけられる。だからあなたの会社も「できる人材」に来てほしいならば、できない社員は解雇すべきなのだ。

次に年功序列制や終身雇用制。これも凡庸さの温床となる。仕事ができない社員が勤労年数に応じて昇進できる一方、優秀な社員は自分の順番が来るのを待つしかない。

野心を持つ「できる社員」はすぐに会社を辞めてしまい、できない社員が最後まで会社に忠誠を尽くす。これで才能のある人材が不足している状況をさらに悪化させてしまう。できる人材の不足の理由というのは会社の体制そのものが作り出している。

そして凡庸な社員ばかりの会社に優秀な人材は応募してこない。

3番目は給与体系をなくすことだ。これは私のクライアントである企業の副社長の話だが、彼女はあるとき、シニアレベルの営業ポジションのための人材を探していた。

採用したいと考えたのは、以前の会社で素晴らしい業績を上げ、さらなるステップアップの機会を探している男性だった。

彼女の目から見て男性は他の求職者と比べて飛び抜けて優秀だったが、彼が希望する給与は業界の平均額を上回っていた。しかしそれより重要と思われたのは、彼が出せると予想される業績も業界の平均をずっと上回っていたことだ。

彼の求める給料の高さを考慮しても、その100倍に値する見返りが見込めると考えられた。そうして副社長は、彼を雇うことを選んだ。

ところがここに人事部が首を突っ込み、副社長のリクエストを拒否した。その理由は、まず男性の希望する給料が「業界の標準給料よりかなり高い」ということ。さらには社の給与体系にも沿っていないという理由だった。

会社側は彼と改めて給与の相談をしようと試みたが、そんなことをしている間に彼は去ってしまう。そして競争相手の企業に就職してしまった。

この会社は結局、2番手だった候補者を雇うことにとなった。彼の給与は業界の平均並みのものだったが、同時に彼が出せた業績もまた業界で「まあ良し」とされる程度の平均的なものだった。

人事はこの状況に満足だったが、副社長にとっては逆だった。

ビジネスのためにならないようなものは手放そう。そうすれば、たとえ日本においても優秀な人材に来てもらうことは可能だ。

[日経産業新聞2019年10月30日付]

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