フードテック、ブレーク迫る!? ロボ・個人・代替カギに
先読みウェブワールド (山田剛良氏)

2019/10/21付
保存
共有
印刷
その他

NIKKEI MJ

食の課題を技術で解決する新製品や新サービスを意味する「フードテック」。米調査会社ピッチブックによると2018年の世界の投資額は5年前の15倍にあたる75億ドル(約8100億円)に達し、日本でも火が付きつつある。

モリロボ(浜松市)のクレープロボット「Q」は色を分けたクレープもつくれる

モリロボ(浜松市)のクレープロボット「Q」は色を分けたクレープもつくれる

「ここ1~2年で国内でもフードテックの注目ベンチャーが登場して盛り上がりつつある。あとは象徴的な成功事例が出れば海外のように投資が積極化しそうだ」と話すのはオイシックス・ラ・大地の松本浩平取締役フードテックファンドマネージャー。8月のイベント「スマートキッチン・サミット・ジャパン」での発言だ。

イベントを企画したシグマクシスの田中宏隆ディレクターはフードテックの注目トレンドとして、フードロボット・パーソナライズ・代替プロテインの3つをあげる。

フードロボは家庭や業務用の調理作業を自動化する。プロ並みの調理を家庭で簡単に実現する「キッチンIoT」と呼ぶネット連動の自動調理家電も相当する。

スマホを通じて個人にあわせて自販機がスムージーを調合する

スマホを通じて個人にあわせて自販機がスムージーを調合する

パーソナライズは個人に合わせた食を提供する製品やサービスだ。体調管理やダイエット、アレルギーの観点で、特定の食材を避けたり特定の栄養素を増やしたりできる。

フードロボとパーソナライズを組み合わせた例としてはベルギーのアルバーツによるスムージーの自動販売機がある。スマホアプリを生かして好みのレシピを作れ、機械がその場で素材を組み合わせてスムージーを作る。「ネットとの連動により利用者の動向を分析してサービス改善にフィードバックできる」(田中氏)あたりも新しい。

パーソナライズが伸びる背景には測定技術の進歩がある。腸内細菌やDNAの解析が手軽になり、ストレスや心情をセンサーで定量化する手法も確立しつつある。個人の心情や体調がデータにできれば、マスマーケティングではない一人ひとりに合わせた新しい食を提案できる。

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て16年から日経テクノロジー・オンライン(現・日経 xTECH)副編集長。17年10月から日経ものづくり編集長も兼任。京都府出身

代替プロテインは植物材料由来の代替肉や昆虫食などを指す。「特に米国で急速に盛り上がっている」(田中氏)のは、牛の生産が地球温暖化に悪影響を与えると最近は懸念されているからだ。

実はこの分野では注目の国内ベンチャーがある。筋肉細胞を培養して作る「培養肉」を手掛けるインテグリカルチャー(東京・新宿)だ。カギとなる培養液の大幅なコストダウンに成功した。

「培養肉など世界をリードする分野もあるが、全体に大手企業のサポートと投資が弱いのが日本の課題」と海外フードテック動向に詳しい米スクラムベンチャーズの外村仁パートナーは評する。

田中氏によると世界の大手家電メーカーは今、利用者の体調管理から食材の調達・配送、家庭での自動調理まで、すべてを一気通貫で提供する「フルスタック」の方向に進んでおり、フルスタックをもくろむ大手と要素技術を持つベンチャーとの提携、買収が加速しているという。同じ流れが日本に来れば、「象徴的な成功事例」は案外すぐ見られるかもしれない。

[日経MJ2019年10月21日付]

日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]