インド工場 スマート革命
SmartTimes BEENEXT ファウンダー・マネージングパートナー 佐藤輝英氏

コラム(ビジネス)
2019/10/18付
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「カム!メーク・イン・インディア!(インドに来て、インドで製造を!)」。モディ首相の力強い掛け声とともに新しい製造業の促進政策が始まって5年がたつ。インドを世界で魅力ある製造業ハブに発展させることを狙ったこの政策は、インド市場の重要性が加速度的な高まりを見せる昨今の情勢とあいまって、アップルやサムスンといった世界的企業が軒並み最大規模の工場を稼働させることにつながった。

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

ここで着目すべき点は、工場におけるIoTとデータの活用だ。インドのデータテクノロジーを活用したリープフロッグ現象(先進国をしのぐほど一気に技術革新が進むこと)は小売りや決済、サービスといった領域で注目されているが、次にこのリープフロッグが起きる領域はIoTを軸にしたスマートファクトリーなのではないかと思う。

この大きな技術革新のうねりの中で誕生した会社がハーバーだ。データとアルゴリズムの力を活用し、スマートファクトリー・ソリューションを展開している。eLIXAというエッジコンピューターが搭載された独自のマシン、製造工程での各種センサー、クラウドでのデータ処理と独自のアルゴリズムで製造工程の水と化学薬品の使用量をリアルタイムに調整するバルブで構成されている。

例えば紙の工場では廃液の汚染度合いをモニタリングしたり、廃液の再利用の可否と量を判断したりして、化学薬品の使用量の最適化やダウンタイムの大幅な縮小を実現する。なかなかすごいソリューションだが、会社が設立されてまだ2年もたっていない。そこで、どこまで実績が出ているのか聞いてみると、すでに顧客には大手製紙会社や飲料品メーカーが名を連ねているということだ。

創業者はビピン・ラグバン氏。米国でMBAを取得した後でオンラインゲーム大手の米ジンガのインド開発部隊を率い、その後に100年近い歴史を持つ米大手商社エコラボのインド拠点統括をするというユニークな経歴の持ち主だ。

ジンガは業界の中でも特にデータ分析力に定評があり、エコラボは工場向けソリューションで名を上げた。様々な業界で得た経験をうまく組み合わせる形で、このハーバーが生まれたわけだ。

工場の様々なセンサーは何を使ってつないでいるのか聞くと、格安SIMカードだという。インドで通信業界に革命をもたらした世界最安4Gコネクションをうたうリライアンス・ジオ。その恩恵が消費者だけでなく工場にも普及していることは実に興味深い。近い将来、中東や東南アジアでもサービスを提供予定とのことだ。4月には米国の著名ベンチャーキャピタル、アクセル・パートナーズからも投資をうけた。メーク・イン・インディアの追い風に乗って、今後の成長が期待される。

[日経産業新聞2019年10月18日付]

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