春秋

春秋
2019/10/11付
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JRや航空各社は大がかりな運休に踏み切るようだし、熱戦続くラグビーワールドカップは一部試合を中止すると発表した。この週末、列島に台風19号が接近、上陸する可能性もある。先月の15号による被害から立ち上がりつつある地域の方々は、気が気ではあるまい。

▼大安をはさむ3連休。旅行や慶事への出席に悩む人も多いだろう。1959年、死者・不明者5千人超を出した伊勢湾台風を機に富士山頂にレーダーが整備され、やがて、気象衛星にかわった。スーパーコンピューターも更新され、台風の予報円はこれまでより約2割小さくすることが可能となった。精度は上がっている。

▼科学が天災を少しはコントロールできたかに見える。しかし、寺田寅彦が昭和の初めに警鐘を鳴らしたごとく、文明が進むほど自然の猛威による災害は「劇烈の度を増す」のである。高等な有機体である社会は、神経や血管の1カ所に支障がでれば「その影響はたちまち全体に波及する」のである。幾度も経験したことだ。

▼「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ」(枕草子)。台風の次の日こそ、しみじみとして趣深い、などと平安朝の才女は記したが、みやびな境地に浸るべくもない現代の我々は、備えを固め、避難所や経路も確認し、不便に耐えて、嵐をやり過ごすほかあるまい。「野分のまたの日」を安堵し迎えるために。

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