春秋

春秋
2019/10/7付
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「すみません、このカードではポイント還元できません」「えっ、なぜ」「このカードはまだ手続きが済んでないんです」……。先週なかば、都内でクレジットカードを使ったときのやりとりである。想定内の事態ではあったのだが、むろん、納得できたわけではない。

▼とりわけ肝を焼いたのは、別のカードならポイント還元できますよ、との説明に対してである。たまたま手にしているカードが違うだけで不利な扱いを受けるのか、という不満が尾を引いた。どうして手続きが済んでいないのか、という疑念も。ポイント還元の仕組みは、消費増税への反発をむしろ強めるのかもしれない。

▼米コロンビア大学の教授だったカール・シャウプ博士を団長とする使節団が来日したのは、70年前のことである。彼らが4カ月の調査を経てまとめた報告書、いわゆる「シャウプ勧告」は、戦後日本の税制の「一つの規範」(石弘光氏)になってきた。そこで最も重視されたのが「公平」だったことは、よく知られている。

▼「租税制度は納税者が公平と認めるものでなければならない」。シャウプ博士のことばである。いまも財務省のホームページは「税」の三原則として、公平と中立、簡素を掲げている。だが今回の消費増税とポイント還元の仕組みは簡素の原則をないがしろにし、さらに公平の原則まで揺るがしているのではないだろうか。

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