経営者に大切な自制心
SmartTimes レランサ社長 スティーブン・ブライスタイン氏

コラム(ビジネス)
2019/10/7付
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経営者に「どうすれば社員のモチベーションを上げて変化をもたらすことができるだろうか」と聞かれることがある。しかし、それは焦点を当てる場所を間違った質問だ。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。

モチベーションで誰かに行動を起こさせることは可能だが、そこから結果を出すところまで持って行くのはモチベーションではない。自制心だけだ。

自制心とは目前にペナルティーが見えていたり、すぐに見返りがあるか不確かだったりするような状況でも、より良い将来を築くための態度を貫く個人の強い意志を指す。営業チームが新しいビジネスモデルに移行する場合でも自制心は必要だ。これまで長く取引している取引先に同じ方法で営業を続ける方が、ずっと楽で結果も予想しやすいに決まっている。

私は以前、クライアントの企業で数人のマネージャーのコーチングを依頼されたことがある。彼らが「心地良い」と感じている以上のことをしてもらおうというときに必要となったのは、意欲ではなかった。

私のサポートを受け入れて成長し続けてくれたのは、自制心を持った方々だけだったのだ。

モチベーションしか持ち合わせていなかった方々は、私がサポートしようとしてもためらい、行き詰まってしまった。モチベーションだけでは乗り越えられない状況では、自制心がその代わりとなる。

モチベーションそのものは、いつか消えてしまう。モチベーションに関するスピーチを聞いただけで後々まで続く成果を出すことができることなどめったにないのは、そのせいだ。

一方、自制心というのは筋肉のようなもので、個人個人が通常から使うことで強化される。それをサポートして成功に導いてあげるためのツールを提供してあげられるのは、リーダーであるあなただけだ。

しかし、あなたが社員や他人の代わりに自制心のトレーニングをしてあげることはできない。

一人ひとりの自制心というのは、自分で自らに課すものなのだ。周囲が何かをさせても、それは無理強いにすぎない。リーダーとしてあなたにできる最良のことは、彼らが自制心を鍛えられる自由を与えてあげることだ。

だからモチベーションの高い社員に改革に取り組み、結果を出すところまで行ってほしいのであれば、自制心を鍛える自由を与え、またそれを責任を持って行うことをあなたの企業文化に取り入れてほしい。

単なる「モチベーション」を追加するのではなく、社員が成功するためのサポートを供給し、そして邪魔をしないということだ。

本当に役に立つのは社員のモチベーションをあげることではない。自分でモチベーションを上げられる人材を育て、それができるだけの自制心を持たない社員は解雇することだ。

[日経産業新聞2019年10月7日付]

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