春秋

春秋
2019/10/3付
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香港警察といえばジャッキー・チェンの映画「ポリス・ストーリー」シリーズが頭に浮かぶ。ジャッキーが裏社会のマフィアと死闘を繰り広げる。吹き替えなしの生身のアクション、あざやかな武技とコミカルな仕草(しぐさ)。描かれる警察官たちは気が良く、憎めず、温かい。

▼そんなイメージが強かっただけに、テレビ画面が映し出す光景を見るのがつらい。香港警察がいま対峙する「敵」は香港市民なのだ。始まりは、中国本土への政治犯の引き渡しを可能にする条例改正への抗議だった。その後もデモ活動は収まることなく、ついに警察が市民に向けて、拳銃の実弾を発砲する事態に発展した。

▼銃撃を受けた男子高校生は一時重体に陥ったという。行政長官を民主的に選ぶ選挙制度の実現など市民側の要求はもっともに思える。だが中国本土との関係を考えると、容易に解決できる問題でないことは想像に難くない。市民への発砲はまさに、後戻りできない決定的な対立への引き金を引いてしまったことになるのか。

▼「プロジェクトA」でジャッキーは「女王陛下のために」と敬礼し、「ポリス・ストーリー3」では中国武装警察の女性警察官とタッグを組む。英国の植民地となり、旧日本軍による占領をはさみ、超大国へと成長した中国に組み込まれる。目を見張る経済発展を遂げてなお、混乱のただ中にある香港。苦難の歴史を思う。

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