春秋

春秋
2019/10/1付
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「たいやき」はゼイタク品か否か。1970年代の半ばごろ、こういう論争があった。といっても実際にアンコの入った鯛(たい)焼きではなく、当時、大いに売れた「およげ!たいやきくん」の音盤に物品税をかけるかどうかで、国税当局とレコード会社が対立したのである。

▼物品税は毛皮や宝石など「奢侈(しゃし)」とされるものを対象としていた。何がゼイタク品で、どれだけ課税するかがこまごまと定められ、一般のレコードは15%だが童謡は非課税だった。しかし大ヒット曲を前に、国税はこれは大人向けの歌だと迫り、レコード会社はあくまでも童謡だと譲らない。結局は会社側の主張が通った。

▼似たような混乱が、客と店とで起きなければいい。きょうから消費税は10%。ただし食料品などは8%のままである。コンビニやファストフード店での持ち帰りは軽減税率、店内飲食は対象外だが、線引きは難しい。テークアウトで買って、気が変わる人がいるかもしれぬ。矢面に立つのは、国税ではなく店のスタッフだ。

▼「たいやき」の時代、物品税をめぐるゴタゴタは絶えず、それが「広く浅く」の消費税導入を促した。一件落着のはずだったが、いまや新たな線引き問題に頭が痛いから皮肉なものである。そうだ、鯛焼きといえば、あれも店先に腰掛けて食べたら税率10%、目の下三尺の本物の鯛も買って帰れば8%。いやになっちゃう?

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