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フィットネスクラブ、機器販売×番組サブスクで稼ぐ

先読みウェブワールド (藤村厚夫氏)

NIKKEI MJ

20万円以上するハードウエアを売りさばき、さらにサブスクリプション(継続課金)で映像や音楽を提供――。こんなビジネスで急成長中と言われて、どんな企業を思い描くだろうか。音楽ならスポティファイ、映像ならネットフリックスだろうか。アップルやアマゾン・ドット・コムのようにハードもソフトもそして映像や音楽もという巨大IT(情報技術)企業か、とアタマをひねりそうだ。

ペロトンは機器の販売にフィットネス番組というサブスクリプションサービスを組み合わせた

その答えは、つい先日、米国ナスダック市場に上場したばかりのペロトンだ。フィットネスと健康をテーマに、独自のビジネスモデルを確立して話題を呼ぶ新興企業だ。「フィットネス界のアップル」という声まである。

ユニークさのポイントは、目論見書で自社を「フィットネス、テクノロジーそしてメディアを結びつけた」と胸をはる点にある。単体の自転車型トレーニングマシンを最初に発売してから間もなく、ワークアウトの結果や分析を記録するスマートフォンアプリを開発。ネット接続型のバイクやトレッドミルを発売し、さらに6千とも言われるワークアウト番組もそろえる。

健康をテーマにしたメディアという特徴も持つ。ジムや家庭に設置できる機器を販売し、付随した大型のディスプレーが人気インストラクターによるフィットネス番組をネット経由で流す。番組を無制限に見ながらワークアウトをするには、ネットフリックスやHuluなどのように月額課金が求められる。

番組は、単に見るだけではない双方向性を盛り込んでいる。バイクやトレッドミルがユーザーの運動量や状態を検知して画面に表示するのはもちろん、それに沿って番組の中のインストラクターが声をかけてくれ飽きさせない。

好みの番組とインストラクターを選んで自分のペースで運動できるのに加え、同時に接続している他のユーザーと運動量を競えるライブ番組も用意している。まさにパーソナルインストラクターを指名していつでもワークアウトできる高級ジムがバーチャルに実現するというわけだ。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年からスマートニュース執行役員。18年7月からフェロー。東京都出身。

ユーザーは140万人に達し、継続率は95%を誇る。つらくさぼりたくもなるフィットネスだが、ネット経由ながらトレーナーやメンバー間のつながり、映像や演出の楽しさによって運動をやめさせないのが強みだ。

ビジネス面から見ると、単体売り切りの高額なフィットネス機器と、それを通じた継続課金(月額約4千円)が主力商品となる。さらにユーザーとインストラクター、あるいはユーザー間のコミュニティービジネスへと成長する兆しも見せる。人気ユーチューバーのようなインストラクターも現れるかもしれない。

何よりも興味深いのは、ペロトンがメディアとしてのビジネスの成長を強く意識していることだ。ジムや家庭で使うフィットネス機器は、その入り口というわけだ。

一方で、人気インストラクターが主役の番組で流している楽曲の著作権使用料をめぐって、業界団体がすでに訴訟の動きを見せている。この点でもユーチューブなどと同様、現代のメディアとしての可能性と課題を早くも示しているともいえる。

[日経MJ2019年9月30日付]

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