郵便局 地域に根ざす姿に
SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

2019/9/30付
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私は全国の郵便局で働く方々を応援している。何といっても62円で全国どこにでもはがきを配達してくれる。郵便局長は地域住民の相談に乗り、子供たちの社会科見学を受け入れる。国民生活のインフラであり、地域に根ざした存在だ。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

民営化したとはいえ、郵便法で全国2万4000の郵便局のネットワーク水準を保持することが宣言されている。ショッピングセンターやコンビニが市場縮小で撤退しても、郵便局は存在し続けている。経済合理性だけでは語れない。

「かんぽ不適切募集問題」。これは言語道断だ。その手口や被害者の属性を見るにオレオレ詐欺まがいで、大半は金融渉外担当による事案。一般に郵便局員というと郵便局の窓口で働く方々のイメージだが、これらの人は窓口から出ることはない。郵便局の安心、信頼ブランドは傷ついた。

不適切販売の背景として営業目標(ノルマ)が挙げられている。それが直接的な原因かもしれないが、どの会社にも営業目標はある。問題は無理な目標設定が、なぜなされたかである。今回の事案が全国で発生していることから、極端な目標設定を強いる一部の上司のせいとも考えにくい。

むしろ日本郵便の収益構造の問題ではないか。62円で全国どこでも配達といった郵便法の精神を守る社会貢献的な事業をする一方で、民営化したから営利を問う「無理」も強いる。これが根源的な問題ではないか。このため、かんぽ生命ゆうちょ銀行を販売手数料頼りの構造にして、確保のための数字づくりを強要しているのではないか。

今後ますますインターネットによる商取引やコミュニティー形成が進む。一方で、人と人がリアルに接するコミュニティーも強く求められるようになるだろう。ネットの「おすすめ」があふれるようになればなるほど、人は自分がよく知る人の推薦を頼りにする。

都市部以外で、このリアルなコミュニティーづくりの担い手に地方の郵便局がなれると私は考えている。それこそ、地元の名士が私財を提供して開設した郵便局の原点の精神に近い。

これを進めるため、郵便局はより地域に根ざした方がいい。そうなると巨大な本社はいらない。地域別に解体して、より地域の特性を生かした姿に再生していくのが良いと思う。

今回の事案発生に際して、日本郵便の本社は混乱していた。現場を預かる方々の話を聞く機会があったが、あまりに現場感が薄い。全国で40万人もの人が働くという巨大組織を本社で全てコントロールしようとするのは無理がある。

北海道と沖縄では求められる郵便局の姿は違い、都市部と地方でも違う。本社で考え、その指示で動く「求心力型」で地域に根ざした活動は難しい。顧客に近いところで考える「遠心力型」に変えることを提言したい。頑張れ、郵便局。

[日経産業新聞2019年9月30日付]

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