春秋

春秋
2019/9/27付
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囲碁では、碁盤の隅から縦横とも3つ目の地点を「三々」という。ここに打てば陣地を築きやすいが、全体に勢力を広げるには、序盤ではこだわらない方がいいとされてきた。常識を覆したのが人工知能(AI)だ。早い段階で三々に打つプロ棋士が、今や珍しくない。

▼定石を破るところに発展がある。企業の経営でいえば、ちょうど30年前の9月27日にソニーが決めた、米映画会社コロンビア・ピクチャーズ・エンターテインメントの買収もそうだ。ハード(機器)だけの販売が当たり前の電機業界で、ハリウッドの映像資産を手に入れて、「ハードとソフトは車の両輪」の時代を開いた。

▼借入金の肩代わり分を含め6千億円を超える巨額買収には役員から「高すぎる」との声もあがった。が、当時の盛田昭夫会長は「コロンビアはいい買い物なんだ」と主張、首脳陣は買収を敢行する。ソロバン勘定は大事だが、それが全てでないのが経営というものなのだろう。その妙味を今の経営者は感じているだろうか。

▼株式市場に背中を押される形で積極投資に転じる動きは出てきたものの、全上場企業(金融を除く)の手元資金は過去最高の120兆円超に積み上がっている。経費や人件費の削減に頼って利益を出す構造から抜け出せていないのは少し寂しい。囲碁や将棋の世界ではAIが次々と新しい勝ちパターンを生んでいるのだが。

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