消費増税実現後の課題(中) 複数税率が生む問題 解消を
西山由美 明治学院大学教授

経済教室
コラム(経済・金融)
2019/9/26付
情報元
日本経済新聞 朝刊
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その他

ポイント
○日本の消費税は単一税率で高い税収効率
○本来目的逸脱した軽減税率の拡大避けよ
○中小事業者の納税申告手続きの簡素化を

経済協力開発機構(OECD)が2018年に公表した消費税に関する報告書によれば、米国を除く加盟35カ国のうち、税率が最も低いのはカナダの5%で、日本の8%は3番目だ。

同報告書は消費税収の効率性の指標(VRR)に関するデータも示している。VRRは、すべての物品・サービスに標準税率を適用して徴収されるべき税収を分母に、実際に徴収された税収を分子にして、本来得られるべき税収が非課税、軽減税率、不適切な申告納税などによりどれだけ失われているかを示す指標だ。

税収効率が最も高いのはニュージーランドで、日本も4位に位置する(図参照)。国税庁の最新統計によれば、17年度の日本の消費税収は所得税収を上回る。日本の消費税は低税率ながら、単一税率の下で効率的に高い税収を上げてきた。

消費税は第1次世界大戦中の欧州で戦費調達目的で導入された。日本でも1989年に導入された消費税は、19年10月に標準税率が10%に引き上げられるとともに複数税率構造に移行する。簡素で効率的だった税制から、複数税率構造の税制に転換するにあたり、その課題を考察したい。

【前回記事】 消費増税実現後の課題(上) 「10%超」も早めに小刻みに

◇   ◇

OECD加盟国の消費税標準税率の平均は19.3%で、税率でもVRRでも平均値にあるのがドイツ(標準税率19%、軽減税率7%)だ。同国の消費税100周年記念の論文集からは、高い税率と複雑な税率構造が引き起こす課税逃れの問題や、…

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