春秋

春秋
2019/9/25付
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1990年代、イタリアの政財界とマフィアとの癒着の構造を暴き、国民的な人気を集めたヒーローがいた。ミラノ地検のアントニオ・ディピエトロ検事だ。闇社会から名指しの暗殺予告を受けながらも、ひるまずに捜査を断行。大物政治家や大企業トップを訴追した。

▼だが、政財界から「検察ファッショだ」と嵐のような批判を浴びた。捜査に行き過ぎがあったとして時の法相が地検に監察官を送り込み、検事を事情聴取する展開に。疑惑を追及された当時の首相は、検察の権限縮小をもくろむ一方で、検事を閣僚に取り込もうと画策した。さながら、一編の映画のような権謀術数である。

▼韓国でも政権VS検察の対立が抜き差しならぬ状況だ。法相の家族による不透明な投資などの疑惑をめぐり、検察が法相の自宅を捜索した。地元メディアは、パソコンのハードディスクを押収したと報道した。歴代大統領は、「強すぎる検察」に不正を暴かれ獄につながれた。文在寅大統領も枕を高くして眠れぬ心境だろう。

▼政権と対峙したディピエトロ検事を後押ししたのは市民だ。ミラノのオペラ劇場・スカラ座前で、不正を糾弾するデモを繰り返した。隣国の世論は今後、どう傾くのか。わが国でも人気を博した韓流歴史ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」を思わせる権力闘争である。朝鮮半島情勢の行方も絡み、次章から目が離せない。

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