ANA、JR東とMaaSで連携 訪日客の足をネットで手軽に
戦略ネットBiz

コラム(ビジネス)
2019/9/25付
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NIKKEI MJ

全日本空輸(ANA)はJR東日本と次世代交通サービス「MaaS」で連携すると発表した。スマートフォンのアプリを使って鉄道と航空の情報を一緒に確認したりきっぷを簡単に買えたりするサービスの開発を目指す。日本に不慣れなインバウンド(訪日外国人)にとって交通機関をそれぞれ手配するのは手間がかかる。顧客の利便性を高め、訪日のハードルを下げて利用を取り込む。

ANAの航空網(写真上)とJR東の鉄道網(写真下は東北新幹線)を組み合わせて最適な交通手段を提供する

ANAの航空網(写真上)とJR東の鉄道網(写真下は東北新幹線)を組み合わせて最適な交通手段を提供する

MaaSは移動手段のサービス化を表す「モビリティー・アズ・ア・サービス」の頭文字をとった略語。移動をひとつのサービスとしてとらえ、継ぎ目なくつなぐ考え方だ。スマホアプリなどを通じて鉄道やバス、タクシーなど複数の公共交通機関を組み合わせた移動プランを設定し、一括して予約・決済。さらに様々な交通手段を定額制で乗り放題とするサービスを提供する例もある。

今回の提携はMaaSを「空と陸」の間で実現するためのもの。1つのインターネットサイトやアプリ上で、鉄道と航空それぞれの運行情報をシームレスに受け取ったり決済したりできるサービスを計画している。

例えば、ある目的地に行きたい利用者が1つのサイト内で航空便や鉄道の移動時間などを比較したり、組み合わせて購入したりすることが想定される。福岡―羽田の航空機と東京―仙台の新幹線のチケットをセットで購入するイメージだ。実現すれば、旅行会社を通さなくても手軽に移動手段を確保できる。

訪日観光の幹線である東京―大阪間では、JR東海が新幹線を運営しており、ANAとJR東日本の競合はあまり激しくはない。両社はこれまでも観光客の地方への誘客促進などで協力関係にあり、ANAは「JR東日本と連携することで、地域と地域、地域と海外を結ぶ、広域なMaaS連携も可能となる」(MaaS推進部の鈴木謙次部長)と期待する。

ANAは今年に入りMaaS推進部を新設したばかり。JR東日本は東急電鉄と組み、静岡・伊豆で専用アプリを使って観光ルートの検索や予約、決済サービスを一括して提供し、地域内をスムーズに観光できるように取り組んでいる。MaaSを契機に交通事業者同士の囲い込みが加速している。

海外でも交通手段の枠を超えた連携が広がる。KLMオランダ航空はオランダからベルギーやフランスへの移動で鉄道と競うなか、オランダ鉄道と提携。乗客は航空機と鉄道のチケットをまとめて予約・購入できる。ドイツ鉄道と独ルフトハンザ航空も国内線で提携関係にある。

ただ、利用者からすればANAとJR東日本に限らず、ほかの航空会社や鉄道会社もまとめてネットで比較・予約ができた方が便利だ。ネットであらゆるサービスが横並びで比較検討できるなか、どれだけ手軽さやメリットを打ち出せるかが、利用を呼び込むカギとなりそうだ。

(井沢真志)

[日経MJ2019年9月25日付]

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