伊集院静「ミチクサ先生」(13)

伊集院静「ミチクサ先生」
2019/9/23付
情報元
日本経済新聞 朝刊
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その他

鉄砲洲の大工の作業場に朝から男が数人集まって何かを真剣にこしらえている。

「これじゃ、旦那、客がちょっとでもふん反り返ったら、車ごとひっくり返っちまいますぜ。もう少し持ち手を長くしてもらわなくちゃ。返道にかかろうもんなら、あっしら駕籠舁(かごかき)が宙吊りでさあ。江戸は坂と谷の土地ですからね」

江戸の駕籠屋の中では、ちょっと名前が知れた頭領の弥兵衛が、鼻の先にメガネをかけて、設計図に見入っている和…

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