春秋

2019/9/20付
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「フットボールの一種。一五人ずつ二組に分かれて楕円形のボールを奪い合い……」。広辞苑でラグビーを引くと、こう出てくる。さらにトライを探すと「攻撃側が相手側のインゴールにボールを接地すること」と解説して、得点5点とキックの権利を獲得すると続く。

▼複雑な試合運びを何とか平易に表現しようとする編さん者の苦労がうかがえる。一方で、この競技の醍醐味は著名な歌人が三十一文字で表してもきた。「奪い合うことの喜び一身に集めてはずむラグビーボール」(俵万智)。予測できないバウンドに、選手らがステップを踏む光景は、今回も各地で見られることであろう。

▼4年に1度のラグビーのワールドカップが今日、開幕する。札幌から熊本まで全国12の都市で、計48の試合が行われる。海外からは約40万人が観戦に訪れるという。ファンの飲むビールの量も半端ではないらしく、今月から来月にかけて、メーカーは大増産するらしい。街のそこここで交流の輪が広がることに期待したい。

▼こんな歌もある「ハイパントあげ走りゆく吾(われ)の前青きジャージーの敵いるばかり」(佐佐木幸綱)。攻めあぐね、一点突破を狙って、高々とキックを上げる。自分らが取るか、相手に奪われるか。厳格なルールの下、チームの規律を保ちつつ、賭けに出た一瞬だ。辞書にこう一節を加えたい。「ラグビーは人生に似ている」

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