2019年9月21日(土)

春秋

春秋
2019/9/10付
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先日、東京・新宿の寄席をのぞいたら、ある落語家がマクラでこんな話を披露していた。日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告は保釈の際、なぜ作業着に変装したのか。それはサギヨウギ(詐欺容疑)を、本人が認識していた内心の発露である、と。大いに笑った。

▼実際に起訴された罪状は、会社法違反(特別背任)などだ。が、絶対的な立場を利用し、会社の財産を流用したという検察側が描く事件の構図について、世間の人びとは、「詐欺みたいな話」だと受け止めたのだろう。十分な役員報酬を得ながら、なぜそこまでするのか。持たざる者のやっかみもあろうが、ふに落ちない。

▼年金に不安を抱える庶民は笑いで留飲を下げるしかない。一方、こちらもペテンにかけられたような印象だ。日産の西川広人社長が、株価連動型の役員報酬を巡り、社内規定に反してかさ上げされた金銭を受け取った疑惑である。権利行使日を過ぎた後、株価が上昇したため行使日を遅らせ数千万円多く利益を得たという。

▼「お手盛り」の役得は、ゴーン元会長以外の役員にも及んでいたのか。会計監査でチェックできないものか。疑問は尽きない。経緯を明らかにし、問題の所在をはっきりさせてほしい。日産は業績不振で、1万人超の人員削減を進める。作業着で汗みずくで働く社員の胸中はいかばかりか。笑って済ますわけにはいくまい。

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