ローカル言語対応の強み
SmartTimes BEENEXT ファウンダー・マネージングパートナー 佐藤輝英氏

2019/9/6付
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インドではここ数年、格安のスマートフォン端末と4Gコネクションの普及で、富裕層から大衆層へとネット利用層が急激に拡大している。それに伴ってコンテンツ消費の市場でも、利用言語は英語単一からヒンディー語やタミル語といったローカル言語へと急速に広がりを見せている。インドKPMGと米グーグルの合同調査によれば、インド国内では2016年にローカル言語を使うネットユーザーが英語ユーザーを超え、21年には5億人を上回って英語ユーザーの2倍以上になると予測している。

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

巨大なユーザー数を抱えるインド市場ではインスタグラムなどの米系ソーシャルアプリも利用されているが、ここ2年ぐらいでユーザー数を急激に伸ばしているのはティックトックなど中国系のアプリだ。彼らは現地言語に対応し、中国で獲得したノウハウを生かしショートビデオを中心としたエンターテインメントコンテンツを伸ばしている。

一方で、日本国土の約9倍といわれる広大なインドでは、出身地域によって無数の文化がある。ベンガル人やタミル人、ラジャスタン人と、出身地域によって文化や慣習だけでなく言語も異なり、公式言語だけでも22を数える。

Trell Mobile app の画面

Trell Mobile app の画面

まさに多様性国家であるインドでは、その特性に目をつけたローカルのソーシャルアプリも複数生まれてきている。IIT(インド工科大学)出身の起業家たちが3年前に立ち上げたTrell(トレル)もその1社だ。中国発のアプリが主にエンターテインメントに力を入れる中で、彼らはライフスタイルにフォーカスし、英語に加えて複数のローカル言語に対応したアプリを展開している。

ユーザーはコスメ商品のレビュー、メーキャップビデオ、ファッション、映画のレビュー、お気に入りの料理レシピなどを3分以内のビデオか写真とともに投稿する。10代後半から20代前半の若者を中心とする発信者はすでに20万人を超え、その7割以上が女性だという。出身地域や出身文化、使用言語、経済状況といった各要素ごとに発信者を開拓し、ローカル化することでロングテール戦略を徹底している。

すでに国内100近くの大学にインフルエンサーコミュニティーを形成しており、インフルエンサーはコンテンツのパフォーマンスリポートや評価を確認することができる。改善点のアドバイスを得る仕掛けなども整備されている。

ローカルに根付く地道な取り組みを続けた結果、月間アクセスユーザーは150万人を超え、毎月30%以上という成長率を見せている。年末までにはさらに100万人のローカルインフルエンサーを獲得、育成していく目標とのことだ。この調子でバイラルな成長が続けば、数年後にはインドを代表するソーシャルプラットフォームへと成長していくのかもしれない。

[日経産業新聞2019年9月6日付]

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