2019年9月18日(水)

春秋

春秋
2019/8/23付
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こんなチームが甲子園で活躍すればいいのに……。メンバー不足に悩む少年野球のコーチを務める行きつけの居酒屋の店主が、ため息交じりにつぶやいた。昨年8月に発売されたコミック誌に、水島新司さんの画業60年を記念した「あぶさん」の読み切り作品が載った。

▼ファンに惜しまれつつ連載が終わった名作である。あぶさん、こと酒豪の強打者・景浦安武は引退後、何をしているのか。と思いきや、部員不足の大阪の3つの高校の連合野球部のコーチを買って出たのだ。「万にひとつ勝ったところで、どこの校歌を歌うんや?」と周囲は冷たい。が、見事、地方大会の初戦を突破する。

▼今年の夏の甲子園の地方大会に参加した3730チームのうち部員不足の連合チームは86。過去最多だ。少子化に加えスポーツの選択肢が多様化したことが背景だ。時事性と人情味を備えた筋の運びはさすが。あぶさんは、「次なる目標はあと2勝ですね。2校の校歌が残っていますし」と励ました。実に爽やかな物語だ。

▼プロ野球のスカウトも、熱い視線を注いだことだろう。きのうの甲子園の決勝は、多くの名選手を輩出した強豪校同士の対戦。手に汗握る熱戦に感動した。でも、いつか連合チームが球児の聖地を沸かせる。奇跡を望む店主の気持ちも分かる。現実は厳しいだろう。80歳の水島さんの健筆に期待し、夢の続編を楽しみたい。

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