2019年9月16日(月)

多くの利用者 価値を生む
SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

コラム(ビジネス)
2019/8/23付
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ある製品やサービスを使う人が多いほど、その製品やサービスの価値が大きくなる。これを「ネットワーク外部性の効果」という。わかりやすいのは電話やSNS(交流サイト)だ。

慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。

慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。

電話の契約者が1人しかいなかったならば、電話の価値はゼロに等しい。多くの人が電話を使っているからこそ、誰とでも通話できるという本来の価値が発揮される。SNSも同様だ。独りぼっちのSNSには価値がない。

iPhone(アイフォーン)などのスマートフォンは本体価値もあるが、人々はそこに必要なアプリをダウンロードすることでカスタマイズして、価値を高めて使っている。

アイフォーン利用者が多ければ多いほど第三者のアプリ開発者による提供アプリが増えるので、これもネットワーク外部性の効果といえる。

ソーシャルゲームも同じである。ゲームは本来、自分でコツコツと楽しむものだった。しかしネットワークにつながることで、外部の影響を大きく受けるようになった。

誰でも無料で遊べるソーシャルゲームの収益は、一部の有料課金ユーザーに支えられている。有料課金ユーザーの割合は少なく、圧倒的多数を占めるのは無料ユーザーだ。この無料ユーザーは無駄なのかといえば、そうではない。

有料ユーザーが課金で得られるゲーム世界での強さや美しさは、多くの無料ユーザーからたたえられてこそ、価値をさらに感じられる。大衆がいてこその王様なのだ。

そしてメルカリに代表されるように、外部ネットワーク性がうまく働いたプラットフォームサービスは大きく成長する。

出品される商品が多くなければ人々は集まってこないが、人々が集まることで商品が売れやすくなるので出品者も増える。

私はWAmazing(ワメイジング)という訪日外国人旅行者向け観光プラットフォームサービスを提供するスタートアップを経営しているが、多くのベンチャーにとって悩ましいのは、どうやってネットワーク外部性の効果を仕掛けるか。いわば「にわとりが先か、卵が先か」の問題に陥るのだ。好循環の最初の1歩をどう生むか。一つの方法は資本の力である。

LINEやメルカリが大規模な広告費用を投じ、初期段階にかなりのテレビCMを実施したことは記憶に新しい。最近のQRコード決済市場の覇権争いにおける大規模キャンペーンも同様だ。

ワメイジングも日本国内の22の国際空港で訪日外国人にSIMカードを無償配布している。仕掛ければ必ず好循環の波に乗れるわけではない。「賭け」ともいえる先行投資だ。

しかし、あえて仕掛けてネットワーク外部性の効果の最大化を狙うことこそ、プラットフォームサービスの成長戦略だろう。

[日経産業新聞2019年8月23日付]

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