時代にそぐわぬ人事制度
SmartTimes インディゴブルー会長 柴田励司氏

2019/8/19付
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人事制度が組織の邪魔をしている。柔軟性が高く、対応スピードも速い。失敗から学び、新しい領域へ積極的にチャレンジできる。経営者であれば誰もが自らの組織をそうしたいと考えるはずだ。しかし実態は硬直的で遅く、学習もチャレンジもしない。多様化したいが実態は同じような男性社員ばかり。女性や外国人の活用は進まない。この構造的な原因は人事制度にあることに気づくべきだ。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

1985年上智大文卒。マーサ-ジャパン社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブの最高執行責任者(COO)などを経て、2010年インディゴブルー社長、15年から会長。

従来の人事制度が前提とする考え方が今の時代に合っていない。(1)組織の階層・構造は変わらない(2)責任と権限は上位職に集中(3)上司が部下へ指示を出し、評価・育成をする――この3つの考え方を守ろうとすればするほど組織は硬直的になり、遅くなり、学習もチャレンジもしなくなる。

組織の階層・構造が変わらない前提の代表格が格付けの制度だ。一人ひとりの能力の発展段階に応じた職能またはコンピテンシーによる格付け、仕事の役割責任の大きさに応じた格付け、またはその混合版と称する制度を導入している企業が多い。これが問題だ。

能力にしても役割責任にしても、格付けは自社内での相対的な話だ。しかも自社の業務遂行に求められるスキル、経験値も変化する。業務の社内への影響度合いも変化する。そうなると、社内の格付けと実際の業務における貢献度が必ずしも合わなくなる。これが、格付けは低いが熱心に働く社員たちの不満を生む。

責任と権限が上位職に集中すると、顧客から遠い人に説明し、理解してもらう手間と時間が必要になる。上位者は全体像が感覚的にわからず、保身のためリスクをとろうとしない。これは顧客価値を損なう。

最大の問題は「上司なるもの」だ。上司は部下を管理・育成し、部下の行動の責任も負う。これが従来の人事制度の考え方だが、今や最もそぐわない。

これは、組織で上位に位置すれば部下よりも優れているという「幻想」に基づく。社内での経験値が高い方が優れているという前提は年々崩れ、管理者も自身でやることは多い。多くの上司たちは無理をして部下の指導、育成をしている。顧客価値を高める労力よりも人的管理に労力を割くことになり、組織のパフォーマンスは上がらない。

働き方改革という名の時間制限と副業解禁で、バリバリ仕事をする人が解き放たれた。従来型の人事制度の枠組みのままでは、こうした人材は組織から離れていく。体験価値がある仕事なら、お金を払ってでもしたいと考える若い人たちも出てきている。従来型の人事制度をコペルニクス的発想転換で見直さないと、組織の存亡に関わる。

では、どうすべきなのか。基本プランについて私案はある。これを若くてバリバリ仕事をしたいと考えている人たちと設計し、世の中に提示していきたいと考えている。

[日経産業新聞2019年8月19日付]

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