2019年9月17日(火)

アートでデート・保養所女子会 映え+非日常感を重視
ミレニアルスタイル

コラム(ビジネス)
2019/8/16付
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NIKKEI MJ

無数の真っ赤な糸が船の形をした造形物から吹き出し、白い部屋を覆い尽くしている。「ふるえた」「ざわついた」――。こんなコメントとともに、この数カ月、ミレニアルズのインスタグラムに盛んに投稿されている写真がある。

森美術館「塩田千春展 魂がふるえる」の撮影OKエリアで撮影する人

森美術館「塩田千春展 魂がふるえる」の撮影OKエリアで撮影する人

これは東京・六本木の森美術館で開催中の「塩田千春展 魂がふるえる」を撮影したもの。糸を使ったダイナミックなインスタレーションで知られる現代美術家の過去最大規模の個展だ。

塩田氏の作品には深遠な思想が込められているが、恋人と足を運んだ女性にデート先に選んだ理由を尋ねると「文化的だし写真も撮れる」「内容以上にパッと見のインパクト重視」と言う。

ここ数年、ミレニアルズのデート先として現代美術を扱う美術館が急浮上しているように感じる。後押しとなっているのが、一部または全部の作品を「撮影OK」とする展示会を開催する美術館が増えていること。

色使いや造形が斬新な現代アートは「おしゃれでインスタ向き」「意味がわからなくても面白い」という。もちろん行ったら行ったで「自分がちっぽけに感じた」と作品の奥深さに感銘を受ける人も多い。

インスタのフォロワー数が14万と日本の美術館でダントツに多い森美術館は、現代アートで若者をけん引する。洞田貫晋一朗著「シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略」(翔泳社)によると、2018年入場者数ランキング1位は「レアンドロ・エルリッヒ展」で、来館者で最も多い年齢層は20代で39.4%だ。

難解な現代アートも尻込みせずに、友人のインスタで写真を見て面白そうだと感じたら、とりあえず行ってみる。観光地などと同じ感覚でアートを楽しんでいるのだ。

石川県の金沢21世紀美術館の作品「スイミング・プール」は、いわゆる「映えショット」が撮れるスポット。神奈川県横須賀市の横須賀美術館もおしゃれなカフェがあり人気だ。香川県の直島も行きたい旅行先としてよくあがる。

一方、泊まりがけのデートで最近よく聞くのが、会社の福利厚生を利用するというもの。福利厚生といっても、安いが古い、ダサい、といったかつてのイメージとは様変わりしている。会社が提携する星野リゾートの高級宿泊施設を「高いけど社員割引のおかげでお得感がある」と活用したり、会社が保有するキャンピングカーを予約して週末に出かけたり。

おしゃれな施設の代表格がビームスの「BY THE SEA」。葉山の一等地にあり、「スタイリッシュな別荘のよう。広々としたオーシャンビューテラスにジャグジーまである。ビームスに友達がいて超ラッキー。一般の人は行けないという優越感もある」と、友達に連れていってもらった女性は証言する。

会社の福利厚生を上手に利用してカップルや友人同士で楽しむのがミレニアルズのスタイル。支持されるのは、中身やお得さに加え「清潔で奇麗、疲れない場所」「非日常体験ができる」などの要素があるもの。そのツボを押せるサービスや施設は、彼らのデート先として定着する可能性を秘めている。「インスタ映え」だけではデート先としては選ばれない。

(ブームプランニング社長 中村泰子)

[日経MJ2019年8月16日付]

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