AIとスマホで金融包摂
SmartTimes GMOペイメントゲートウェイ副社長兼GMOベンチャーパートナーズファウンディングパートナー村松竜氏

2019/8/14付
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世界的な成長センターである東南アジアで、インドネシアが国内総生産(GDP)も人口も全体の約4割を占める大国であることは案外知られていない。だから日本よりも多いという東南アジアのユニコーン企業の大半がこの国にある。

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

新卒でジャフコに入社。担当していたGMOインターネットの上場後に決済のスタートアップを起業。2005年にGMOベンチャーバートナーズを設立。12年よりシンガポールを拠点に活動

中間階級の人口が爆発的に増加し、若者が消費の担い手となりつつある一方で、その約半数が銀行口座を持たず、クレジットカードの普及率も1%と低い。そんな状況で若者の間では、スマホ普及によりEコマースが急速に拡大し、クレジットカードを持っていなくてもオンラインで後払いや分割払いが可能なクレジット機能のニーズが、急激に増しているのだ。

しかしクレジットカードや銀行口座さえも持たない若者の支払い能力を判断するのは、既存の金融機関には難しい。手軽にローンを組もうとしても、年率数十%から時には100%以上という金利を支払うことになる。安定した職業を持つのに家電購入や旅行に踏み切れない若者がたくさんいるのだ。ここに、全ての人に金融サービスを提供する「金融包摂」をフィンテックが実現する大きなポテンシャルが存在している。

私たちの支援先であるFinAccelは人工知能(AI)とスマホを使い、この問題を解決しようとしている。商品到着後の後払いサービスと、クレジットカードのような分割払いサービスをスマホアプリ経由で提供している。

「商品受け取り後に代金を払いたいが、銀行振り込みや代金引換は使いたくない」というニーズや「分割払いで大きな買い物をしたい」との需要を捉え、約30秒で登録可能なスマホアプリで実現したことで急速に普及が進んできた。

リスク管理には目を見張る。登録したユーザーの情報を自動で収集し、1000以上の項目に基づいてAIが瞬間的に信用スコアリング判断をしている。どのような職に就き、どんな買い物をしているか。スマホの利用時間帯はいつかなど、様々な観点から分析。不正の可能性が高い虚偽の登録情報や、代金を支払うつもりのないユーザーの挙動を瞬時にして見抜く。

一方で、健全に利用を続けるユーザーには与信額を引き上げる。これまでの伝統的な手法では見逃されてきた優良なユーザーの購買を後押ししながら、信用をともに築くのだ。創業から数年で一番重要な指標である貸倒率を現地の大手銀行と同等の水準に抑え、高い精度の信用判断力を実現した。これが大手銀行や米ファンドに評価され、数十億円規模の融資提供を取り付けることに成功した。

Eコマースに加えて実店舗での利用も進む。先進国でクレジットカードが担う機能を実現し、購買意欲の旺盛な若者の消費と、もっと販売したい事業者の課題を解決。インドネシアの経済成長を消費面で支えるインフラとなりつつある。

[日経産業新聞2019年8月14日付]

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