2019年8月20日(火)

お茶体験、あえて日本語で 宮野園(埼玉県狭山市)
おもてなし 魅せどころ

コラム(ビジネス)
南関東・静岡
2019/8/12付
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NIKKEI MJ

茶産地の北限といわれる埼玉県の狭山地域。1869年(明治2年)創業の宮野園は狭山市中央部の住宅地にある。茶の卸が本業だが、自らも約9000平方メートルの茶畑を持っており、茶摘み体験や茶道体験、茶によるおもてなしのし方など茶に関わる様々な体験会や教室を開催している。

ゴールデンウイークに来園したカナダの観光客は茶摘み衣装を着て楽しんだ

ゴールデンウイークに来園したカナダの観光客は茶摘み衣装を着て楽しんだ

中でも人気の茶摘み体験は、5月初めから11月上旬まで受け付ける。1回の定員は30人で1日3回。10連休となった今年のゴールデンウイークは連日満杯で、1000人近くが訪れた。

例年、学校の夏休みが終わり涼しくなると、宮野園には外国人観光客が目立つようになる。東京から日帰りできるとあって東南アジアや欧州、米国などから「日本文化を体験したい」という外国人が多く訪れる。

だが宮野園では外国語での対応はしない。「身ぶり手ぶりで何とかなるし、どうしても必要ならスマホのアプリを使えば十分。日本の文化に触れてもらうには、むしろ日本語の方がいい。無理に外国語を使えば、伝えたいことが伝わらないこともある」とおもてなし部部長の宮野圭司さん(51)は割り切る。それにもかかわらずSNS(交流サイト)などを通じて外国人観光客は増え「茶の木が欲しい」と言い出すリピーターもいる。

茶摘み体験は1時間半から2時間程度。1000円の体験料に500円の衣装代を追加すれば、男性でも茶摘みの衣装を身につけて茶畑に立つことができる。事前に茶の積み方の講習を受け、摘んだ茶葉は参加者自らが煎茶に仕上げる。生の茶葉のてんぷらなども試食できるが「これで利益をあげるつもりはない」と宮野部長は笑う。

同園で茶摘み体験を始めたのは15年ほど前、地元小学校の総合学習に協力したのがきっかけだ。児童は製茶した茶や生の茶葉を自宅に持ち帰る。すると保護者から「体験したい」という要望が多く寄せられた。茶と言えばペットボトル飲料しか飲んだことがなく、茶葉や急須を見たことがない人も増えている。「観光茶園にすれば、茶を身近に感じてもらうきっかけになる」(宮野部長)

宮野部長は1日1回、自分のために茶を入れることを提唱している。「必要な時間はたった3分。わずかなゆとりで心は豊かになる」。宮野部長は一過性の観光客誘致ではなく、地域振興や日本茶の普及など将来を見据えている。

(さいたま支局長 松田隆)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2019年8月12日付]

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