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radiko、デジタル対応の見本に 「時代遅れ」が進化

奔流eビジネス(D4DR社長 藤元健太郎氏)

NIKKEI MJ

我々おじさん世代にはラジオは青春の大事なメディアであった。電子工作で作ったり、遠い海外の短波放送を聴いたり、カセットテープに好きな音楽を録音したりと、様々な趣味の中心にいつもラジオはいた。中でも深夜ラジオは毎日のように聴いていた。DJが投稿はがきを毎日読んでいたが、今思えばソーシャルメディアの投稿をみんなで聴いている感じだった。

ラジコは地域も時間も超えて多くのラジオ番組を聴ける

iPodのような携帯音楽端末が登場して長時間音楽が聴けるようになり、スマートフォンに時間がどんどん費やされる中、ラジオは居場所をなくしていった。最近ではラジオがない家も増えている。

そんな中でスマホでラジオを聴けるインターネット放送として2010年に登場した新しい希望の星が「radiko(ラジコ)」である。

順調に拡大して現在は日本中の96局が参加し、エリア内の放送ならリアルタイムやオンデマンド(1週間以内)で聴ける。有料サービスに加入すると、遠隔地のラジオ局の番組も楽しめる。地方でないと聴けなかった好きなタレントの番組を聴く人や、広島カープファンなど地元のラジオ局の中継で応援したい人に喜ばれている。

ラジコの成功の理由には、日本中の放送局や広告代理店が協力してひとつのサービスとしたことがある。先進的な放送局が独自のネット放送に取り組んだこともあったが、小資本が目立つ日本中の放送局がそれぞれ自分でアプリを作り運用するのは、コストも手間も現実的ではない。

利用者からみても、放送局ごとにアプリをダウンロードするのはとても面倒だ。競争する放送局同士が危機的な状況から協調し、プラットフォームを作って成功したことはデジタル化対応の見本としてとても参考になるだろう。

例えば、コンビニでの雑誌売り場も減少するなど雑誌も危機的な状況にあるが、スマホで雑誌読み放題のdマガジンのようなサービスが生まれたことで新しい可能性も見えて来た。非競争領域を統合するプラットフォームビジネスの可能性が様々な業界に眠っているのではないだろうか。

ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職

現在のラジコユーザーは平均年齢が44.2歳と、かつて聴いていた世代を呼び戻している。しかし、今の若い世代にはそもそもラジオを聴いたことのない人が多数おり、新しい仕掛けも必要になる。例えばソーシャルメディアで番組をシェアすれば、口コミで話題になった番組を聴くスタイルも増えるだろう。

一方でラジオの枠を越えた音声メディアというジャンルも広がりが期待できる。大きな要因としては、アマゾンエコーやグーグルホームのようなスマートスピーカーが家庭やオフィス、車などにどんどん普及していくことがある。

音声を中心としたデバイスは音声メディアとの相性がとてもよい。「Voicy(ボイシー)」のような新しい音声メディアサービスも登場している。

今後はユーザーの状況に合わせてコンテンツを変えたり、放送が聴取者とインタラクティブになったりなど、従来の電波放送にとらわれない新しいラジオ的サービスもどんどん出るだろう、オールドメディアを未来に進化させるラジコのような挑戦に期待したい。

[日経MJ2019年8月9日付]

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