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春秋

封筒にメールアドレスを書けば相手に届く――。そう思っている中学生が少なからずいるらしい。今年の全国学力テストの話である。国語の問題で、架空の新聞の住所やファクス番号、メルアドを示し、投書欄に封書を送る方法を尋ねたところ珍解答が続出したという。

▼手紙の中身ではなく、たんに封筒の表書きをどうするかという質問だが、正しく書けた生徒は57%しかいなかったそうだ。宛名と住所の位置を逆に書いたり、ファクス番号やメルアドを記したり。メールやSNSの普及で、手紙との縁がいよいよ薄くなっているのだろう。7年前の同様の問題より正答率は大幅に下がった。

▼こう嘆いている当方だって、手紙をしたためる場面がそうあるわけではない。仕事のやり取りはほとんどメール、身内とのちょっとした連絡はもっぱらLINEである。ただし、この手のツールとなると、こんどはシニアが若者に笑われる番だ。向こうは早くて簡潔。「了解」を「りょ」で済ます返信に戸惑う仕儀となる。

▼宛名にメルアドはショックだが、文字をつづる機会自体は、むしろデジタル時代になって増えている。「書く」文化は未来につながっていると信じて気を取り直そうか。そういえば、樋口一葉は明治の郵便勃興の世に合わせ、手紙の書き方の実用書「通俗書簡文」を著した。その本で強調したのは「こと葉の自由」だった。

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