2019年9月24日(火)

新規上場企業の育成強化
SmartTimes セントリス・コーポレートアドバイザリー代表取締役 谷間真氏

コラム(ビジネス)
2019/8/5付
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新規株式公開(IPO)を目指す企業には主幹事証券会社を中心にベンチャーキャピタルや上場コンサルタントなど多くの支援企業が存在し、関連書籍やセミナーも数多くある。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

新規上場企業は主幹事証券会社のIPO担当者と二人三脚で取るに足らないことも相談しながら上場準備を進めるが、上場日のセレモニーと同時に良き相談相手を失う。

上場日とは、上場準備企業の先頭ランナーから多くの上場企業の最後尾となる日ともいえる。

主幹事証券会社の担当者も苦労を重ねて信頼関係が構築されたIPO部門から、自社のことを何も知らない経験不足の担当者に変わることも珍しくない。

企業は上場後、日々新たな問題に直面するが、信頼できる相談先が存在しないことも多い。

経営陣には企業経営だけではなく、株式市場との信頼関係を構築するIR活動、トラブル発生時の情報開示、実質的に機能するコーポレートガバナンスなどが求められる。

この結果、多くの企業で上場後1~2年で株価が低迷し、株式の流動性もなくなり、上場している意義も薄れていくこととなる。

一方で、特にメガバンク系証券会社はIPO推進を重要な戦略と位置づけ、銀証連携を強化してIPOを総合的に支援する体制を築きつつある。新規上場企業は金融機関にとっても収益機会が多く、これから成長する可能性を秘めた有力な取引先候補でもある。

それならば金融機関は主幹事証券会社を中心として、新規上場企業が上場企業として独り立ちする2~3年の間はワンストップで育成・支援できる専門チームを組成すべきだと思う。

IR活動や情報開示、資金調達、株式売却、事業提携、相続対策、コーポレート・ガバナンスなどは経営戦略と統合し、一体として検討しなければ最適解は得られない。

それぞれに金融機関の担当部門やコンサル会社は存在しているが、経験のない新規上場企業には、これらを統合した戦略を立案することが非常に難しい。

私の仕事はIPOのコンサルティングではなく、社外役員の立場でベンチャー企業に経営参画することだ。IPOは私にとっても経営者と同様に、企業の成長プロセスの中で通過するイベントだ。

私はそのプロセスで、多くの企業が上場後にする苦労をともに経験してきた。上場前と上場後の世界の双方につながっている人材は非常に少ない。

新規上場企業は将来性や成長性だけでなく、上場審査により透明性と順法性も備えた「金の卵」だ。金融機関を中心として上場前から上場後にかけての連続したワンストップのサポート体制を構築し、埋没する新規上場企業の育成を強化することは、日本経済への貢献にもつながる。

[日経産業新聞2019年8月5日付]

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