刑罰 フェルディナント・フォン・シーラッハ著 いびつな救済が心をえぐる

2019/8/3付
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日本経済新聞 朝刊
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シーラッハの短篇(たんぺん)集『犯罪』を読んだとき、これはドイツの吉村昭ではないかと思った。様々な事件や犯罪者たちと関わる弁護士の「私」の物語は、怜悧(れいり)な文体で犯罪者を見つめる吉村の短篇「秋の街」や「秋の街」が発展したような傑作『仮釈放』を想起させた。

つまり人間の精神と犯罪の関係を捉える深い洞察があり、社会的環境での弱者たちへの同情がある。何よりも叙述は冷静で、私情をはさまず、あくまで…

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